「反響が出るページと、出ないページの違いは、なんとなく分かる」——住宅会社のサイト運用でよく聞く言葉ですが、「なんとなく」のまま次のページを企画すると、外したときに原因が分からない状態が続きます。
反響を出しているページには、サイト単位ではなく「1ページ単位で見ないと見えない共通点」があります。ページ種別、その前に見られているページ、着地した参照元——このあたりに、来場予約や資料請求まで進む人の"手前の型"がひっそり残っています。GA4の「データ探索」を使うと、複数ページを一度に並べて、共通点を数字で見つけられます。

目次
前提:標準レポートだけでは「ページ同士の共通点」は見えない
GA4の標準レポート(レポート→エンゲージメント→ページとスクリーン)でも、ページごとの表示回数やセッション数までは確認できます。ただし、標準レポートで見えるのは「1本の一覧」だけで、次のような問いは1画面では答えを出せません。
- キーイベントが多く発生しているページは、他のページと何が違うのか
- 反響を出しているページを見た人は、その前にどのページを経由していたのか
- 反響を出しているページに共通する参照元(Organic Search / Direct / Social)はどれか
これらの問いに答えるには、「ページ×指標」だけでなく「ページ×他のディメンション」を同時に並べる必要があります。標準レポートの二次ディメンションは1つまでで、しかも並び替えの自由度が低いので、途中で見比べが止まります。
データ探索の自由形式レポートを使うと、ページタイトルと3〜4つのディメンション・指標を1つの表に並べられます(やさしいGoogleアナリティクスブログ・InnoMark)。この1つの表を作れば、あとは目視で「反響を出しているページ」を上から並べて、共通点を書き出すだけです。

使う指標:セッションのキーイベント率が主役
反響を出しているページを見つけるとき、「表示回数の多い順」で並べるのは危険です。表示回数はトップページやニュース一覧のような「たまたま多く見られるページ」が上位に来やすく、反響との関係が薄いページが上に集まってしまうからです。
代わりに主役にするのは、セッションのキーイベント率(旧称:セッションのコンバージョン率)です。これは、そのページが起点になったセッションのうち、何%でキーイベント(資料請求・来場予約・電話タップなど)が発生したかという指標です(analyticsmania・measureu)。
計算式は次のようになります:
セッションのキーイベント率 = キーイベントが発生したセッション数 ÷ 総セッション数
複数のキーイベントが1セッション内で発生しても、「1つ以上発生していれば分子は1」として数える点が、単純な「キーイベント数÷セッション数」とは違います。
表示回数の多い順ではなく、セッションのキーイベント率が高い順で並べると、「アクセスは少ないけれど反響につながっている隠れた勝ちページ」が浮かんできます。この隠れた勝ちページこそが、次に何を増やせばいいかの答えを持っているページです。
データ探索の作り方(10分でできる自由形式レポート1本)
ここからは、実際にGA4の管理画面でデータ探索を1本作る手順です。10分ほどで終わります。

1. 左メニュー「探索」から「空白」を選ぶ
GA4の左下にある「探索」をクリックして、テンプレート選択画面で「空白」を選びます。7つのテンプレート(自由形式・目標到達プロセス・経路・セグメントの重複・ユーザーエクスプローラ・コホート・ユーザーのライフタイム)のうち、今回は自由形式を1から作るので空白から始めます。
2. ディメンションを追加する
左パネルの「変数」→「ディメンション」の「+」をクリックして、次の3つを選びます。
- ページタイトルとスクリーン クラス(または「ページタイトル」)
- セッションのデフォルトチャネルグループ
- ランディングページ + クエリ文字列(サブディメンションとして使うことがある)
3. 指標を追加する
同じく「変数」→「指標」の「+」をクリックして、次の3つを選びます。
- セッション
- キーイベント
- セッションのキーイベント率
4. タブの設定に配置する
右側の「タブの設定」で次のように配置します。
- 行:ページタイトルとスクリーン クラス
- 値:セッション、キーイベント、セッションのキーイベント率(上から順に)
これで、ページ別にセッション・キーイベント・キーイベント率が縦に並ぶ表が出来上がります。行数はデフォルト10行ですが、右下から50〜100行に増やせます。
5. 並べ替えとフィルタ
セッションのキーイベント率の列をクリックして「降順」に並べ替えます。ここで注意点が1つあります。セッション数がごく少ないページ(月に数セッションしかないページ)はキーイベント率が偶然100%になりがちなので、フィルタで「セッション数 ≧ 20」(サイト規模に応じて調整)を追加します。
これで、十分な母数を持ちながら、キーイベント率が高いページから順に並んだ表ができました。ここまでで、反響を出しているページの一覧は取れています。あとは共通点を探すフェーズです。
反響を出しているページに共通する4つの見方
上位10〜15行のページを目視で見て、次の4つの軸で共通点を書き出します。この4つを見るだけで、住宅会社のサイトではだいたい共通点が浮かびます。
①ページ種別で共通点を探す
まず、上位ページを「ページ種別」でグループ化します。住宅会社のサイトでよく出てくる種別は、次のあたりです。
- 施工事例(1棟詳細):特定の1軒の完成写真+間取り+施主コメント
- モデルハウス:常設展示場や新モデルの紹介ページ
- 価格の考え方:金額そのものではなく「なぜこの価格になるか」の説明
- スタッフ紹介:設計担当・現場担当のプロフィール
- お知らせ・イベント:完成見学会や相談会の案内
上位ページの過半数が同じ種別に偏っていれば、その種別が「反響直前に見られる型」です。よくある結論は、「施工事例(1棟詳細)」と「モデルハウス」の2種別が、上位の8割を占めるという形です。この場合、次に増やすページの候補は自動的に「施工事例(1棟詳細)」と「モデルハウス」のバリエーションになります。

②訪問直前のページで共通点を探す
次に、上位ページを見た人が、その前にサイト内でどのページを経由していたかを見ます。これはデータ探索の「経路データ探索」で確認できます(やさしいGoogleアナリティクスブログ・経路データ探索)。
- 経路データ探索を開き、「終点」に反響を出しているページを指定する
- 「1つ前のステップ」に何が並ぶかを見る
住宅会社の場合、「施工事例一覧 → 施工事例(1棟詳細) → 資料請求」という流れが強く出ることが多いです。この場合、施工事例一覧ページの構造(絞り込み・並び順・サムネイル)を直すと、反響ページへの流入を増やせるということが分かります。
③参照元で共通点を探す
上位ページの「セッションのデフォルトチャネルグループ」内訳を見ます。Organic Search(自然検索)で反響を出しているページと、Direct(直接流入)で反響を出しているページは、実は性質が違います。
- Organic Searchで反響を出しているページ:検索意図とページの見出しがぴったり合っている(例:「新潟 平屋 施工事例」で来た人が、平屋の完成事例ページで資料請求)
- Directで反響を出しているページ:チラシ・名刺・ハガキ・メールなどサイト外の何かに書かれたURLから直接来た人が反響を出している
Organic寄りなら次のページも検索意図を意識した見出しにする、Direct寄りなら紙媒体やLINEでの導線を増やす——というふうに、打ち手の方向がここで分かれます。
④訪問回数(初回か、複数回訪問か)で共通点を探す
同じ「反響」でも、サイトを初めて訪れた人が出した反響と、3回目・4回目の訪問で出した反響では、直前の判断プロセスが違います。データ探索の「ユーザーの新規性」ディメンションで切り分けられます。
- 初回訪問で反響を出しているページ:情報密度が高く、迷わせない構造になっている(例:施工事例1棟の中で「価格帯・工期・こだわり・資料請求」がワンストップで揃う)
- 複数回訪問で反響を出しているページ:比較検討の最後の一押し(例:スタッフ紹介・会社情報・保証やアフターサービス)
住宅会社のサイトでは、この2種類のページを両方揃えておくのが基本形です。片方だけに寄っていると、比較検討のどこかの段階で読者が離れます。

よく見つかる3つの型(住宅会社の場合)
上の4つの軸で見ていくと、住宅会社のサイトでは次の3つの型のどれかが浮かんでくることが多いです。自社のデータ探索で共通点を書き出すときの参考にしてください。
型A:施工事例1棟が主戦場のサイト
反響上位が「施工事例(1棟詳細)」に偏っている型。Organic Searchからの流入が多く、初回訪問で反響が出やすいのが特徴です。次に増やすべきは、施工事例1棟のバリエーション(平屋・二世帯・狭小地・リノベなど)と、施工事例一覧ページの絞り込み機能です。
型B:モデルハウス訪問が主戦場のサイト
反響上位が「モデルハウス」ページに集まる型。Directや広告からの流入が多く、複数回訪問で反響が出やすい傾向があります。次に手を入れるべきは、モデルハウス紹介ページの動画・360度画像・見学予約フォームの導線です。
型C:会社の考え方で選ばれるサイト
反響上位に「価格の考え方」「スタッフ紹介」「会社情報」といった"人と考え方"が入るページが混ざる型。比較検討の最終盤で反響が出る傾向が強く、次に手を入れるべきは、家づくりへの姿勢・アフターサービス・地域とのつながりを伝えるページです。
自社がどの型かは、データ探索の上位10〜15行を眺めれば、多くの場合は10分で判別できます。判別ができれば、次の記事・次のページの企画を「なんとなく」ではなく数字を根拠に立てられます。
この記事で扱わなかったこと(次に読むと役に立つ記事)
この記事は「反響を出しているページの共通点を見つける」ところまでを扱いました。次の2つは、その手前と後段にあたる作業なので、あわせて参考にしてください。
- 計測がそもそも取れているかの確認:GA4を新しく入れ直したあとに、何が見えるようになるのかはGA4計測改修の前後で何が変わるのかにまとめました。共通点を探す前に、そもそも数字が正しく入っているかを確認する順番です
- フォーム到達後の離脱の切り分け:反響を出しているページには来ているのに、フォームで落ちている場合の切り分け手順は資料請求フォームの離脱をGA4で特定するにまとめました。ページ単位の共通点が見えたあとに、最終ステップの詰まりを見に行くときに使います
まとめ:共通点が見えれば、次の1本が数字で決まる
住宅会社のサイト運用で一番もったいないのは、「なんとなく反響が出ているページはあるけれど、なぜ出ているかは分からない」ままの状態で次のページを増やすことです。
GA4のデータ探索を1本作れば、ページ種別・訪問直前のページ・参照元・訪問回数の4つの軸で、反響を出しているページに共通する型が浮かんできます。この型が分かれば、次に増やすページの方向と、既存ページのどこを直すべきかが同時に決まります。
「今のサイトの反響ページに共通する型を見つけたい」「自社が型A・B・Cのどれかを見極めたい」というときは、GA4分析のご相談からお声がけください。実際の管理画面を一緒に開きながら、共通点の書き出しまで伴走します。
この記事を書いた人
Masaharu Ishimoto(御縁 GROWTH)
上級ウェブ解析士 / 御縁 GROWTH 代表
新潟の住宅会社・工務店を中心に、GA4計測の設計からAI検索(GEO)対策、サイト制作、公式LINE構築までを支援しています。
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