「うちのサイトに構造化データって入っているんでしたっけ?」——住宅会社の経営者と話していて、いちばんよく出る質問のひとつです。
答えは、WordPressの主要なSEOプラグインを入れていれば「一部は入っている」、そして残りは自分で足さないと入らない、というのが実情です。しかもこの1〜2年で、「入れる目的」そのものが変わりました。
構造化データはもう、Googleの検索結果を派手にするためのものではなく、AI検索に自社を正しく引かせるための下ごしらえです。 この記事は、住宅会社の経営者・広報担当の方に向けて、AI検索時代に最初に入れるべき4つの構造化データと、入れて終わりにしないための落とし穴、そしてWordPressサイトでの実装現実論までを1本にまとめたものです。

目次
2026年5月、Google検索から「FAQ」が消えた
まず、直近の大きな変化を押さえます。
Googleは2026年5月7日をもって、FAQリッチリザルト——検索結果の下に「よくある質問」がアコーディオン表示される、あの機能——を、すべてのサイトから完全に取り下げました(Passionfruit/Search Engine Journal)。HowTo(手順を検索結果内に展開する機能)は先行して2023年9月にデスクトップから消えており、2025年6月には別途7種類の構造化データ機能(Book Actions/Course Info/ClaimReview/Estimated Salary/Learning Video/Special Announcement/Vehicle Listing)が一括で廃止されています。

「じゃあ、構造化データはもう意味がないんですか」と聞かれます。答えは逆で、意味の中心が完全に移り変わりました。
これまで構造化データは、Googleの検索結果を目立たせる(=リッチリザルトを出す)ための飾りとして扱われることが多かった。この用途は縮小方向で確定した、というのが2026年時点の状況です。
一方でこの2年、AI検索(AI Overviews/ChatGPT/Perplexity 等)は構造化データを積極的に読み、要約と引用の材料にしています。Ahrefsの先行調査では、AIに引用されているページのうち約53%が何らかのスキーマを実装しており、これは引用されていないページの約3倍とされます(0120.co.jp AIO実装ガイド)。FAQPageスキーマは、リッチリザルトは出なくなっても、AIに読まれる意味論の輪郭としてはむしろ役割が強くなっているという整理です。
Googleエンジニアの説明として引用されているのは「FAQマークアップが乱用され、スパムのように扱われるようになった」という趣旨のコメントです(iNet Ventures)。構造化データが要らなくなったのではなく、飾りとして雑に貼る使い方が要らなくなった、と読むのが正確です。
住宅会社サイトが最初に入れる4つのスキーマ
御縁で住宅会社サイトのGEO診断をするときに、最初にそろっているかを確認する構造化データは4つです。

- Article(BlogPosting) ── 記事コンテンツに、著者・公開日・更新日・見出し画像を紐づける
- LocalBusiness(HomeAndConstructionBusiness) ── 住宅会社そのものに、所在地・営業時間・対応エリア・電話・免許を紐づける
- FAQPage ── 施主が実際に検索する質問への回答を、質問と答えのペアとして構造化する
- Person ── 記事の著者情報を、実在の人物として紐づける(Articleの author プロパティから参照する)
4つが揃うと、AI側は「この会社は誰で、どこで営業していて、どんな内容を書いていて、誰が書いた記事か」を全部同じ場所から読み取れる状態になります(grupainsight)。逆に、どれか1つでも欠けているとAIは補完のために推測を混ぜます。推測が入れば、引用のときに社名がぼやけたり、他社と混同されたりします。
以下、それぞれ「住宅会社サイトで具体的に何を書くか」まで落とします。
Article/BlogPosting ── 「いつ書いたか」をAIは強く見る
ブログ記事や施工事例のページに最初に入れるのが Article(またはニュース性が薄い場合は BlogPosting)です。
住宅会社サイトで必ず含めるプロパティは次の5つです。
- headline:記事タイトル(HTMLの h1 と一致させる)
- datePublished:公開日
- dateModified:最終更新日(古い記事を更新したらここも必ず書き換える)
- author:後述する Person スキーマへの参照
- image:アイキャッチ画像のURL(横1200px以上を推奨)
AIは"いつの情報か"を、記事内の日付表記よりもこの dateModified を優先して見ます。本文冒頭に「2024年時点」と書きながら dateModified が3年前のまま止まっている記事は、AIから「更新が止まったサイト」と評価され、引用対象から外れていきます(Tufe Company 構造化データ完全ガイド2026)。
住宅会社サイトでとくに注意したいのは、古い施工事例ページです。数年前の事例をそのまま残しているケースは多いのですが、その場合は本文冒頭にも「〇年竣工の事例です」と一言添え、dateModified を空欄にしない(最後に手を入れた日を入れる)だけで、AIから見た鮮度が変わります。
LocalBusiness ── 「新潟の住宅会社」であることを教える
会社概要ページ・トップページに入れるのが LocalBusiness です。住宅会社の場合は、より具体的な HomeAndConstructionBusiness というサブタイプが用意されています(Schema.org HomeAndConstructionBusiness)。両方を同時に指定できます。
住宅会社サイトで最低限含めるプロパティは次の8つです。
- name:会社名(法人格まで含める)
- address:本社所在地(郵便番号・都道府県・市区町村・番地まで分割して入れる)
- telephone:代表電話
- url:自社サイトのトップページURL
- areaServed:対応エリア(例:新潟市/長岡市/上越市 等)
- openingHoursSpecification:営業時間と定休日
- priceRange:価格帯の目安(例:¥¥〜¥¥¥)
- sameAs:GoogleビジネスプロフィールやSNSの公式URL
「Google側の情報と1文字でもズレていると、AIは信頼を下げます。」とくに address(表記ゆれ:番地の「-」と「番」)と telephone(ハイフンあり/なし)は、Googleビジネスプロフィール・電話帳サイト・地域ポータルすべてと突き合わせて統一してください。片方は「新潟市中央区」、もう片方は「新潟市 中央区」と半角スペースが混ざっているだけで、AI側は同じ会社と認識しづらくなります(jinrai.co.jp)。
建設業許可番号を priceRange の並びに `identifier` プロパティで入れているサイトもあります。免許情報は住宅会社の信頼性を示す重要なシグナルなので、構造化データにも載せておくと望ましい形です。
FAQPage ── リッチリザルトは消えても、AIは読む
先に述べたとおり、FAQPageはGoogle検索結果ではもう見た目に反映されません。それでも書く価値がある理由は、FAQPageは「質問と答えの1対1の構造」がAIにとって最も読みやすい形式だからです(Gettech Infinite)。
AIが「新潟の注文住宅の坪単価は」と質問を受け取ったとき、あなたのサイトのFAQに Question:新潟で注文住宅を建てるときの坪単価の目安は/Answer:〇〇〜〇〇万円が中心で、性能や仕様で幅がある と1問1答で書いてあれば、AIはそのまま短く引用できます。本文の中にダラダラ書いてある同じ内容は、AIが引用しづらい形です。
住宅会社サイトで書く価値があるFAQの例:
- 「新潟の(自社商圏)で建てる場合の坪単価の目安は」
- 「土地探しから相談できるか」
- 「打ち合わせは何回くらいあるか」
- 「モデルハウスの見学は予約制か/子ども連れでもよいか」
- 「地盤改良費はどこまで含まれているか」
FAQを"検索結果を目立たせる小道具"と考えている限り、AIには効きません。施主が実際に検索する質問だけを、本文で答えている内容と一致させて書く。答えを本文にも書いていないFAQは、AIに読まれても引用されない(ページに存在する情報しかAIは根拠にできない)ので、必ずセットで整えます。
Person ── 誰が書いた記事か、E-E-A-Tの"E"
最後の1つが Person(記事の著者情報)です。Article スキーマの `author` プロパティから参照して、実在の人物として紐づけます。
住宅会社サイトで含めるプロパティは次の5つです。
- name:著者名(実名)
- jobTitle:役職・肩書き(例:一級建築士/プランナー/代表)
- worksFor:所属する会社(前述の LocalBusiness を参照)
- image:本人写真(アバターでも可)
- sameAs:本人のLinkedIn/Facebook/X等の公式アカウントURL
Google はいわゆる E-E-A-T(Experience/Expertise/Authoritativeness/Trustworthiness)を評価しており、構造化データで著者を明示するのは、そのなかでもとくに"Experience(体験)"と"Expertise(専門性)"をAI側に伝えるほぼ唯一の場所です(esseeoo E-E-A-T Schema)。
住宅会社の場合、施工事例や技術記事の著者に 一級建築士・二級建築士・宅地建物取引士 といった資格が入っていることは強いシグナルになります。sameAs にLinkedIn等の第三者が確認できるプロフィールを入れることで、AI側は「この人物は実在し、この会社に所属している」と裏付けを取ることができます。
入れて終わりにしないための3つの落とし穴
構造化データは「書いて終わり」ではありません。運用の落とし穴が3つあります。

落とし穴①:本文とマークアップの不一致
構造化データに書いた内容が、そのページの本文に書かれていない状態は、Googleのガイドライン違反です(GMO TECH)。「FAQPageに書いた質問と答えが、本文中には見当たらない」——これは多くのサイトでやってしまっているパターンです。AI側もページ内テキストとの整合を見ているので、不一致があると引用対象から外れます。
落とし穴②:情報が更新されない
営業時間・電話番号・対応エリア・所在地は、変更があったときに サイト表記・Googleビジネスプロフィール・構造化データの3箇所すべてを同時に更新してください。1箇所だけ古いまま残ると、AI側から見て「どれが正しいか判断できない会社」になります。
落とし穴③:意味のないFAQを乱発する
リッチリザルト目的で「本文に無いFAQ」を大量に貼り付けていた時代のクセで、すべてのページに5〜10問のFAQを機械的に付ける実装を続けているサイトが多いです。これがGoogleがFAQリッチリザルト自体を廃止した直接の理由になりました。施主が実際に検索する本物の質問だけを、書いている内容と一致させて絞る、が今の運用です。
WordPressサイトでは、どこまで自動で入るのか
住宅会社サイトの多くはWordPressで動いています。構造化データも全部を自分で書く必要はありません。ただし「自動で入る範囲」と「自分で足す必要がある範囲」を正しく認識することが大切です。
住宅会社サイトで多く使われている Yoast SEO の場合、初期設定で入力した組織情報・ロゴ画像・ソーシャルアカウントは Organization スキーマとして自動出力されます(mikiya-webdesign 2026年版Yoast設定)。ブロックエディター上に「Yoast FAQ Block」も追加されるので、これを使って本文にFAQを書けば FAQPage スキーマも一緒に出力されます。
一方で、次の3つはプラグイン任せでは不十分なことが多いのが実務上の実感です。
- LocalBusiness / HomeAndConstructionBusiness:住宅会社サブタイプでの出力・対応エリアの明示・営業時間の詳細は、テーマまたはカスタムのJSON-LDでの追加が必要になるケースが多い
- Article の author に紐づく Person:著者ページを別途作り、そこからPerson スキーマを出力する仕組みまで用意してあるプラグインは限定的
- 施工事例ページの構造化:施工事例をカスタム投稿タイプで運用しているサイトでは、`Product` や `RealEstateListing` 相当のスキーマを自作する余地がある
「Yoast を入れているから安心」は今の基準では不十分、というのが2026年時点の見え方です。まずGoogle リッチリザルト テストで自社サイトの主要ページを1本ずつ確認して、何が出力されていて何が欠けているかを可視化する。ここが最初の一手になります。
効果測定は、リッチリザルト画面ではもう測れない
「入れた効果はどう測るんですか」もよく出る質問です。FAQリッチリザルトが検索結果から消えた以上、"見た目の変化"では効果はもう分かりません。
これから追う指標は次の3つに変わります。
- Google Search Console の"検出済み構造化データ"レポート(有効/エラー/警告の件数の推移。ただしFAQ関連レポートは2026年6〜8月に段階的廃止予定)
- AI検索での自社の言及回数(月1回、主要クエリをChatGPT・AI Overviews・Perplexityに投げて記録する)
- GA4 の参照元「AI検索経由セッション」(chatgpt.com/gemini.google.com/perplexity.ai 等からの流入をカスタムセグメントで分けて追う)
月次で見る指標は、この3つで十分です。全部をダッシュボード化する必要もなく、A4・1枚のメモに毎月同じ場所に書き足していく形で、十分に「効いているか」の温度が分かります。
今週やる1つ
4つのスキーマを一度に整えるのは大変です。優先順位でいえば、今週やるのは "LocalBusiness の情報の突き合わせ" だけでよいです。

具体的にはこれだけ:
- 自社サイトのトップページをGoogle リッチリザルト テストにかける
- 出力されているLocalBusiness(もしくはOrganization)の住所・電話・営業時間・対応エリアを確認する
- 同じ4項目をGoogleビジネスプロフィールの管理画面でも確認する
- 2箇所の表記が完全に一致していない項目があれば、サイト側を直す
この1点だけでも、AIから見た「同じ会社」認識の精度は目に見えて上がります。Article/FAQPage/Person は、この基本情報が揃った翌週以降で構いません。
一度整えれば、あとは変更があったときだけ「サイト・GBP・構造化データの3箇所」を同時に更新する運用に乗せるだけになります。
まとめ
- 2026年5月、GoogleはFAQリッチリザルトを完全廃止した。HowToも先行して廃止済み。構造化データを「Googleの検索結果を派手にするため」に使う時代は終わった
- 一方でAI検索(AI Overviews/ChatGPT/Perplexity)は構造化データを積極的に読み、引用されているページの約53%は何らかのスキーマを実装している
- 住宅会社サイトが最初に入れる4つは Article/LocalBusiness(HomeAndConstructionBusiness)/FAQPage/Person
- 落とし穴は3つ ── 本文とマークアップの不一致・情報が更新されない・意味のないFAQ乱発
- WordPressのSEOプラグインで自動出力される範囲は限定的。LocalBusinessのサブタイプ・Person・施工事例の構造化は手で足すことが多い
- 今週やるのは1つだけ——LocalBusinessの住所・電話・営業時間・対応エリアを、サイトとGoogleビジネスプロフィールで完全に一致させる
「新潟の(自社商圏)で家を建てたい」と誰かがAIに聞いたとき、候補として自社の名前が挙がるかどうかは、思っているより地味な内部の整えで決まります。派手な演出ではなく、AIが読んで疑わない状態を作ることが、これからの構造化データの役割です。
構造化データの現状把握とAI検索での引用状況の点検は、御縁のGEO診断でも受け付けています。全体像は「AI検索時代の住宅会社集客ガイド」にまとめていますので、あわせて参考にしてみてください。
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参照した情報源
- Passionfruit「FAQ Rich Results Deprecated: Google's May 2026 Change」
- Search Engine Journal「Google Downgrades Visibility of HowTo and FAQ Rich Results」
- iNet Ventures「Why Google Removed FAQ Rich Results」
- 0120.co.jp「構造化データでAI検索を強化する実装ガイド2026」
- Tufe Company「構造化データ完全ガイド2026年版」
- jinrai.co.jp「AIO対策の構造化データ実装ガイド」
- grupainsight「Structured Data in 2026: Schema.org, AI Search and E-E-A-T」
- esseeoo「E-E-A-T Schema: Linking Author, Organization, and Content with JSON-LD」
- Gettech Infinite「Schema Markup for AI Search: FAQ, HowTo, and Article Schema Explained」
- Schema.org「HomeAndConstructionBusiness」
- WEB集客ラボ byGMO「JSON-LDの仕組みとSEO効果」
- mikiya-webdesign「Yoast SEO徹底設定ガイド2026」
この記事を書いた人
Masaharu Ishimoto(御縁 GROWTH)
上級ウェブ解析士 / 御縁 GROWTH 代表
新潟の住宅会社・工務店を中心に、GA4計測の設計からAI検索(GEO)対策、サイト制作、公式LINE構築までを支援しています。
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