AIに任せた仕事が、8日間ぜんぶ空振りしていた。「完了」の表示を信じてはいけない理由

「AIに任せたら、見張る仕事が増えた」

「AIに任せたら、見張る仕事が増えた」

AIの活用について書かれた記事のコメント欄を読んでいると、よく似た声に出会います。

  • 「自動化したはずなのに、ちゃんと動いているか見張る仕事が増えた」
  • 「大きな自動化はリスクが怖い。小さく始めたい」
  • 「エラーが出て、そこから先に進めない」

AIに仕事を任せるのは、便利です。

帝国データバンクの調査(2026年3月)でも、生成AIを業務で使っている企業の課題の1位は「情報の正確性」50.4%。「トラブル時の責任所在のルール整備」25.5%も挙がっています。任せっぱなしにしていいのかという不安は、多くの会社に共通しています。

でも、任せた仕事が本当に終わっているかどうかは、意外と誰も確かめていません。

実は私自身、それで大きな失敗をしました。

AIに任せた仕事が、8日間、ぜんぶ空振りしていたのです。

今日は、その失敗と、そこから作った「毎朝5分の確認表」をお話しします。

▶ 関連:帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」


毎晩、AIが働いてくれるはずだった

毎晩、AIが働いてくれるはずだった

私は自分の会社で、夜のうちにAIが仕事を進める仕組みを作っています。

寝ている間に、AIがブログの記事を書き、公開の準備をし、前の日の仕事の記録をまとめる。

朝起きたら、全部終わっている。

そんな「夜勤のAI」を、2026年の7月に動かし始めました。

仕組みは毎晩、決まった時間にきちんと動き出しました。

記録を見ると、毎晩こう書いてありました。

「完了」

8日間、毎晩「完了」。

私は安心していました。

▶ 関連:AIエージェントに毎晩ブログを書かせる仕組みで、初期にやめた3つの設計判断


ある朝、ブログが更新されていなかった

ある朝、ブログが更新されていなかった

ある朝、ブログを開いて気づきました。

新しい記事が、出ていない。

おかしいと思って、8日分の記録を1つずつ開きました。

どの日も「完了」と書いてある。

でも、中身を読むと、肝心の作業はひとつも終わっていませんでした。

記事の公開も、保存も、何もかも。

8日間、AIは毎晩起きて、何もできずに「完了」と言って寝ていたのです。

▶ 関連:AIに任せて事故りかけた話 —— 数字と固有名詞は人が確認する


原因は「鍵を渡さずに、留守番を頼んだ」こと

原因は「鍵を渡さずに、留守番を頼んだ」こと

原因は、とても単純なことでした。

たとえるなら、家の鍵を渡さずに、留守番を頼んだようなものです。

留守番の人は、時間どおりに来てくれます。

でも、鍵がないので家に入れない。

玄関の前で時間まで待って、「今日の留守番、終わりました」と帰っていく。

AIも同じでした。

私はAIに「この作業をして」とは頼んでいました。

でも、その作業をしてよいという許可を、きちんと渡していなかったのです。

だから、AIは作業の手前で止められていました。

そして、止められたこと自体は、「完了」の一言に埋もれていました。

▶ 関連:AI導入で最初に必要なのは、ツール選定ではなく「渡す情報の棚卸し」


直したこと:3つ

直したこと:3つ

気づいてからは、3つのことを変えました。

1. 渡す許可を、一覧にした

「どの作業をしてよいか」を1枚の一覧にして、AIに渡すようにしました。

鍵を、必要な分だけ、きちんと渡すイメージです。

2. 「完了」の文字ではなく、できた物で確かめるようにした

記録の「完了」は見ません。

本当に記事が公開されているか、ファイルが増えているかを見ます。

3. 毎朝、自動で点検するようにした

その後も、仕組みが止まったことは何度かありました。

しかも、止まる理由は毎回違いました。

だから今は、毎朝決まった時間に、AIの仕事が本当に終わっているかを自動で点検させています。

この失敗から学んだことは、ひとつです。

「完了」の表示を信用しない。できた物を見る。

▶ 関連:毎日AIに使う3つの型 —— プロンプトの土台・チェック手順・引き継ぎメモ


【実物】「AIに任せた仕事、本当に動いた?」毎朝5分の確認表

【実物】「AIに任せた仕事、本当に動いた?」毎朝5分の確認表

AIに仕事を任せている会社も、これから任せる会社も、まずはこの確認表を使ってみてください。

スマホのメモに貼るか、紙に印刷して机に置くだけで使えます。朝5分で終わります。

使い方

1. 下の表をスマホのメモ(iPhoneなら「メモ」、Androidなら「Keep」など)に貼る

2. 「任せた仕事」の欄に、AIに任せている仕事を1行ずつ書く

3. 毎朝、上から順に確かめて、○か×をつける

最初に1回だけ決めること

  • 任せた仕事:(例:ブログの記事を書く/請求書の下書きを作る/問い合わせに返信する)
  • できた物がある場所:(例:ブログの管理画面/共有フォルダ/送信済みメール)
  • 1日に何件できるはずか:(例:1件)

毎朝の5項目

  • □ ① できた物が、決めた場所にあるか(「完了」の文字ではなく、物を見る)
  • □ ② 数は合っているか(1件のはずが1件あるか)
  • □ ③ 中身を1つだけ開いたか(白紙・途中で切れていないか)
  • □ ④ ×のとき、どこで止まったかをメモしたか(動き出していない/途中で止まった/「完了」なのに物がない)
  • □ ⑤ 日付と○×を記録したか(3日続けて×なら、仕組みの見直し)

①が×なのに記録が「完了」になっていたら、それは私と同じ「鍵を渡していない」状態です。

AIに渡している許可を、見直してみてください。

▶ 関連:AIに任せてよかった仕事・任せられなかった仕事 —— 自社で試して分かった6つの線引き


同じ困りごとなら、代わりにやります

同じ困りごとなら、代わりにやります

「確認表を作っても、見る時間がない」

「そもそも、何をAIに任せていいか分からない」

そんな社長は、私に任せてください。

AIに任せる仕事の選び方から、許可の渡し方、毎朝の点検の仕組みまで、まとめて引き受けます。

その困りごと、AIで解決します。

御縁の事業:DXとAX(AIトランスフォーメーション)

御縁は、中小企業のDX(紙と手作業を、デジタルに整える)とAX(AIが仕事を回す会社にする)を、社長の右腕として引き受けています。

バックオフィスのAI化・業務ツールづくり、数字の分析、ホームページ・動画・AI検索対策まで。1社ずつ、本業に集中できる仕組みにします。

▶ 事業の詳しい内容:AIエージェント企業支援事業(御縁)

▶ サービス一覧:御縁のサービス

▶ 関連:御縁に相談すると、最初の1ヶ月で何が起きるのか

参考データ・関連記事

  • 帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」— 活用34.5%、課題の1位は情報の正確性

https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260514-genai/

  • 東京商工リサーチ「『生成AI』活用は企業の25%にとどまる」— 専門人材不足がネック

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201667_1527.html

  • 前回の記事:その困りごと、AIで解決します。会社員22年のシングルファーザーが、中小企業のAI導入を丸ごと引き受ける理由

https://note.com/goen_ishimoto/n/n0f2f557502c4


次回は、「工事日報が無くても、業者の請求書から工程は出る」です。

足りない書類を集める前に、手元にある物で答えを出す方法をお話しします。

AIに任せていて「これ、本当に動いてる?」と不安な仕事があれば、コメントで教えてください。 次の記事でお答えします。

「自分で確かめる時間はない。任せたい」という社長は、LINEから気軽にご相談ください(30分無料)。

▶ https://lin.ee/S9bBejs

御縁 代表 石本政晴

この記事は、noteでも公開しています。▶ noteで読む(石本政晴・AIで困りごと解決)

その困りごと、AIで解決します。会社員22年のシングルファーザーが、中小企業のDXとAIトランスフォーメーションを引き受ける理由

社長から一番多く聞く言葉

社長から一番多く聞く言葉

中小企業の社長にお話を伺うと、いちばん多く出てくる言葉があります。

「本当は、本業に専念したいんです」

見積、請求、書類、ホームページ、SNS、採用……。

どれも大事な仕事です。でも、社長が本当にやりたい仕事ではありません。

気がつけば一日が終わり、本業に向き合えるのは夜になってから。

人を雇えば解決するかもしれない。

でも、今は人が集まりません。採用しても、教える時間がありません。

帝国データバンクの2026年の調査では、企業の経営課題の1位は「人材強化(採用・定着・育成)」で90.2%。2026年上半期の「人手不足倒産」は227件と過去最多を更新しました。

私は今、そんな社長の「本業以外の仕事」を、AIを使って引き受けています。

はじめまして。御縁(ごえん)の石本政晴です。

この記事では、私が何者で、なぜこの仕事をしているのかをお話しします。

最後に、自社の「本業以外の仕事」を5分で数えられるチェック表を置いておきます。

▶ 関連:帝国データバンク「企業の経営課題に関するアンケート(2026年)」


会社員として22年。現場で見てきた「本当の課題」

会社員として22年。現場で見てきた「本当の課題」

私は会社員として22年、現場で働いてきました。

その間、ずっと同じ悩みを見続けてきました。

現場が悩まされていたこと

  • 書類や事務に追われて、本来の仕事に手が回らない
  • 人が足りない。若手が入っても、教える時間がなくて育たない
  • 「あの人しか分からない」仕事が多く、その人が休むと止まる
  • 連絡や情報共有が遅く、手戻りややり直しが起きる
  • ホームページやSNS、AIの話になると、追いつけない、分からない

社長や会社が求めていたこと

「仕事はあるのに、人が足りなくて、仕事ができなくなってきている」

「本業に集中したいのに、他の作業が多すぎる」

「その作業を、誰かに任せられるようになりたい」

そして多くの人が、こう言っていました。

「AIを学びたい。取り入れたい。でも、何から始めればいいか分からない」

22年間で分かった一番の問題は、ひとつです。

大事な仕事に、時間を使えないこと。

現場では、段取りがすべてでした。

誰が、いつ、何をするか。どこで手が止まるか。

仕事の流れを見て、詰まっている所を見つける。

この感覚が、今の仕事の土台になっています。

▶ 関連:現場所長の1日を書き出すと、何時間が書類仕事なのか


二人の息子を育てながら

二人の息子を育てながら

私は、二人の男の子を育てるシングルファーザーです。

子どもたちが小さかった頃は、仕事が終われば送迎、部活動のサポート、学校行事。

自分の時間を作ることは、ほとんどできませんでした。

「なにか自分でやってみたい」

そう思いながらも、目の前のことに追われて、動き出せない日々が続きました。

ファイナンシャルプランナーの道も考えましたが、競争の激しさに一歩が踏み出せませんでした。

国の調査(令和3年度 全国ひとり親世帯等調査)では、父子家庭の父が一番困っていることは「家計」38.2%、次いで「家事」14.1%。そして相談相手がいない父親は45.2%にのぼります。仕事も家のことも、一人で抱え込みやすいのが父子家庭です。

だから、社長の「本業に専念したいのに、他のことに時間を取られる」という気持ちが、

私には他人事に思えません。

やりたいことがあるのに、時間がない。 あの苦しさは、よく知っています。

▶ 関連:こども家庭庁「全国ひとり親世帯等調査」


41歳の誕生日に開業

41歳の誕生日に開業

子どもたちが大きくなり、少しずつ自分の時間が持てるようになった40代。

ある日、自分に問いかけました。

「人生は1回しかない。このままで後悔しないか?」

2022年9月、副業の準備を始めました。

昔から趣味で続けていた動画制作を仕事にしようと決め、

半年で100万円以上を機材とソフトに投資しました。

毎月届く請求書に、本当に冷や汗をかきました。

それでも、もう逃げられない。

2023年5月3日、41歳の誕生日に、御縁を開業しました。

営業の経験はゼロ。最初は無料で動画を作らせてもらい、実績を積みました。

初めていただいたお金は、1,000円。

今までで一番うれしい1,000円でした。

▶ 関連:御縁(goen-growth.com)のホームページ


AIと出会って、仕事が変わった

AIと出会って、仕事が変わった

動画の仕事を続けるうちに、お客さまから相談されることが増えていきました。

「ホームページを見てほしい」「SNSが続かない」「事務が回らない」。

どれも、本業とは別のところで社長の時間を奪っている仕事でした。

そこで出会ったのがAIです。

最初は自分の会社で試しました。今では、

  • 記事の下書きと挿絵を、夜のうちにAIが仕上げる
  • 夜の仕事が本当に終わったかを、朝にAIが点検して知らせる
  • 毎週月曜に、アクセスの数字をAIがまとめて報告する

という仕組みが、私が寝ている間に動いています。

自分の会社で動いたものだけを、お客さまの会社に持っていく。 これが今の私のやり方です。

▶ 関連:AIエージェントに毎晩ブログを書かせる仕組みで、初期にやめた3つの設計判断


御縁の事業:DXとAX(AIトランスフォーメーション)

今、私は中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)とAX(AIトランスフォーメーション)を、社長の右腕として引き受けています。

言葉は難しそうですが、やることは2段階です。

第1段階 DX:紙と手作業を、デジタルに整える

日報、見積、請求、社内の書類。紙やExcelに散らばった仕事を、デジタルで一か所にまとめます。

ここが整っていないと、AIに渡すものがありません。

第2段階 AX:AIが仕事を回す会社へ

整えた仕事を、AIエージェントに渡します。書類の下書き、数字の集計と分析、ブログやSNSの発信。

人を雇わなくても回る仕組みにします。

お手伝いしている範囲は、たとえばこんな仕事です。

  • バックオフィスのAI化・業務ツールづくり:書類・請求・日報・議事録、社内書類のツール、会社専用の仕組み
  • 分析・解析:売上やホームページのアクセスを、AIで見える化して次の一手を決める
  • 集客・発信:ホームページ制作・導線設計、動画制作、GEO/SEO(AI検索対策)、広告運用
  • 提案・戦略の選定:次に何をやるか、どこに力を入れるかを一緒に決める

進め方はシンプルです。

1. 社長の話を聞く:何に困っているか。何に時間を取られているか。本当はやってみたいことは何か

2. 仕事を分ける:社長がやるべき仕事と、渡せる仕事を分ける

3. 渡せる仕事を仕組みにする:DXで整え、AXでAIに回させる。人を雇わなくても回るようにする

ヒアリングで出てくる悩みは、会社ごとに違います。

それでも最後は、ほぼ同じ言葉にたどり着きます。

「本業に専念したい」です。

事業の詳しい内容は、御縁のホームページにまとめています。

▶ 事業の詳しい内容:AIエージェント企業支援事業(御縁)

▶ サービス一覧:御縁のサービス

▶ 関連:AIに任せてよかった仕事・任せられなかった仕事 —— 自社で試して分かった6つの線引き


「右腕」がいない会社を、なくしたい

「右腕」がいない会社を、なくしたい

中小企業の多くは、社長の右腕になる人がいません。

人手不足は、これからもっと深刻になります。

それなのに、生成AIを業務で使っている企業は34.5%(小規模企業では28.0%)。使えていない理由には「専門人材・ノウハウ不足」41.3%、「活用すべき業務範囲が不明確」40.0%が並びます(帝国データバンク、2026年3月)。人が足りない会社ほど、AIを入れる人もいない。ここを埋めるのが私の仕事です。

でも、AIなら、人を雇えない会社でも右腕を持てます。

社長が本業に100%集中できる会社を増やすこと。

それが、人手不足という社会の問題に対して、私ができる貢献だと思っています。

AIは、社長の「本業以外」を引き受けるためにある。

私はそう考えています。

▶ 関連:建設会社がAIエージェントを「右腕」として使うと、現場は何が変わるのか


【実物】社長の「本業以外の仕事」棚卸しチェック表

【実物】社長の「本業以外の仕事」棚卸しチェック表

まずは、自社の「本業以外の仕事」を数えてみてください。

紙でも、スマホのメモでも構いません。下の項目を写して、当てはまるものに印をつけるだけです。5分で終わります。

使い方

1. 先週、自分でやった仕事に ✅ をつける

2. ✅ をつけた仕事の横に、だいたいの時間を書く(例:3時間)

3. 「これは自分じゃなくてもいい」と思うものに ★ をつける

お金・書類

  • □ 見積書を作る
  • □ 請求書を作る・送る
  • □ 業者からの請求書をチェックする
  • □ 入金・支払いを確認する
  • □ 日報・報告書をまとめる

集客・発信

  • □ ホームページを更新する
  • □ ブログ・SNSに投稿する
  • □ 施工事例・商品の写真を整理する
  • □ 問い合わせに返信する
  • □ チラシ・資料を作る

管理・連絡

  • □ 工程・予定を組み直す
  • □ 社員や業者への連絡・確認
  • □ 会議の議事録を作る
  • □ 数字(売上・アクセス)を集計する
  • □ 採用の募集を出す・応募に返信する

★ の数が、AIに渡せる仕事の候補です。

★ が3つ以上あれば、社長の時間は、今より確実に取り戻せます。

▶ 関連:AIを業務に入れるとき、最初に渡すべき仕事の選び方


このnoteで書いていくこと

このnoteで書いていくこと

このnoteでは、中小企業の仕事をAIで回す実録を書いていきます。

毎回、テンプレートやプロンプトなど、そのまま使える「実物」を1つ配ります。

  • 事務・書類をAIで片付ける(請求・見積・日報・議事録)
  • 集客・発信をAIに任せる(動画・ブログ・SNS)
  • 経営の数字をAIで読む(売上・アクセスの見える化)
  • AIを会社に入れる・続ける(うまくいかなかった話も含めて)

次回は、「AIの自動化が8日間、全部空振りしていた話」です。

仕組みを作ったのに、実は何も動いていなかった。私自身の失敗から、AIに仕事を任せるときに一番大事なことをお話しします。

▶ 関連:AIに任せた仕事が、8日間ぜんぶ空振りしていた。「完了」の表示を信じてはいけない理由

参考データ・関連記事

この記事で紹介した数字の出典です。どれも無料で読めます。

  • 帝国データバンク「企業の経営課題に関するアンケート(2026年)」— 経営課題の1位は人材強化(90.2%)

https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260304-management-issues/

  • 帝国データバンク「倒産集計 2026年上半期報」— 人手不足倒産227件で過去最多

https://www.tdb.co.jp/report/bankruptcy/aggregation/20260708-bankruptcyh12026/

  • こども家庭庁「全国ひとり親世帯等調査(令和3年度)」— 父子家庭の困りごと・相談相手

https://www.cfa.go.jp/policies/hitori-oya/reserch_single-parent_households

  • 帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」— 活用34.5%と、進まない理由

https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260514-genai/

  • 東京商工リサーチ「『生成AI』活用は企業の25%にとどまる」— 専門人材不足がネック

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201667_1527.html


チェック表で ★ がついた仕事、コメントで教えてください。 次の記事で、AIに渡す方法をお答えします。

「自分でやる時間はない。任せたい」という社長は、LINEから気軽にご相談ください(30分無料)。

▶ https://lin.ee/S9bBejs

御縁 代表 石本政晴

この記事は、noteでも公開しています。▶ noteで読む(石本政晴・AIで困りごと解決)

AIエージェントに毎晩ブログを書かせる仕組みで、初期にやめた3つの設計判断

深夜の無人のオフィスで、ノートパソコンだけがブログ執筆と予約投稿のログを表示している場面

御縁 GROWTH ロゴ

このブログは、毎晩AIエージェントが1本記事を書き、翌朝9時に予約公開されます。私は朝それを読んで、マズければ9時前に取り消す、という運用を続けています。

始めたのは2026年の7月下旬。今日でちょうど60日を超えたところです。

60日のあいだに、私は「便利そうだから入れたけれど、続けるうちに全部やめた設計判断」が3つあります。

今日は、その3つがなぜ生まれて、どこで折れて、今どうしているかを、そのまま書きます。AIを業務に入れようとしている経営者の方に、同じ穴を踏んでほしくないからです。

深夜の無人のオフィスで、ノートパソコンだけがブログ執筆と予約投稿のログを表示している場面

1. なぜ「やめた設計判断」を書くのか

AIエージェントに業務を任せる話題は、2026年に入って一気に増えました。半年で暴走が疑われる報告が約5倍に増えたという調査もあります(AIエージェントの失敗事例4つ — AINOW)。

私自身も、自社のブログを実験台にして、この半年で運用の中でしか気づけない設計ミスを3つ踏みました。

大切なのは、最初の設計が悪かったこと自体ではありません。悪いのは、「あとで直せばいい」と思って動かし続けてしまうことです。

AIエージェント導入で失敗する企業の共通課題として、多くの解説記事が「導入設計と運用設計の不足」を挙げています(AIエージェント導入の失敗5パターン — Uravation、中小企業のAI導入で失敗する理由 — 中小企業AI導入ナビ)。私が踏んだ3つの穴も、その通りでした。

2. やめた① 次の1本を「★印」で指す運用(★ポインタ運用)

最初にやったのは、次に書くべき記事を「★」で指しておく、という運用でした。

どう動いていたか

企画一覧のファイルに、記事案がたくさん並んでいます。その中の1つに「★」を付けておくと、夜間の仕組みがそれを見つけて、その1本を書きます。書き終えたら次の企画に「★」を移す —— という設計です。

一見すると自然です。「次はこれ」を人間が矢印で指しておくだけなので、直感的でした。

何が折れたか

問題は、企画のファイルが4つに増えたときに起きました。建設・住宅・AI・サービスの4ライン運用に切り替えた瞬間、「★」が4個に増え、どのファイルの★を優先するかという別のルールが必要になりました。

  • 前日書き終えたのはどのラインか?
  • 曜日はどのライン?
  • 明日書き始める前に、どのファイルの★を進めるか?

このメタルールを毎晩AIに正しく判断させ続けるのは、思ったより難しい仕事でした。ある晩、AIは「どの★を進めるべきか」の判断を1文字ずれで解釈し、以降は誰も次を書かなくなりました。

結果、8晩連続で1本も上がりませんでした。朝、9時の枠が空のままメールが飛んでくるのを、8回見ました。

どう直したか

やめる判断は早めでした。7月下旬、「★を探すのをやめて、日付だけ見る」と決めました。今は次のようになっています。

  • 企画一覧の各行に「投稿予定日」だけを書いておく
  • 夜間の仕組みは「企画のうち、投稿予定日が最も早い行」を選ぶ、それだけ
  • ★は使わない

判断のロジックが1行のルールに減った瞬間、8晩空振り問題は消えました。

上=乱雑な★印の付いたメモ、下=予定日と記事名だけが並んだ静かな一覧、という2枚の紙の対比

これはAIエージェントの設計としては、SREの本番運用で使うガードレールパターンや、ハーネスエンジニアリングで言われている、「判断を減らして、状態を1つに束ねる」という発想と重なる話でした。

経営者の実務で言い換えると、AIに毎晩なにか判断させるルールは、社員の当番表と同じで、手数が多いほど回らなくなります。「手が空いた人がやる」という決め方の会社は、たいてい誰もやりません。

3. やめた② 1晩に何本もまとめて公開する設計(週2本→1日1本へ)

2つ目にやめたのは、1晩に複数本を公開できる設計でした。

どう動いていたか

最初、私は「週2本」というペースで設計しました。夜間の仕組みには「1晩に最大2本まで書いてよい」というオプションを付けていました。ネタが溜まったら一気に消化するつもりでした。

何が折れたか

1晩に2本上げようとした最初の日、1本目でリサーチ用のAPIが認証切れしていたのに気づかず、そのまま2本目も同じ失敗でこけました。翌朝9時、記事は2本とも上がっていませんでした。

もっと怖かったのはその次の日です。前日の分を取り戻そうと「1晩に3本」に一時的に上げた晩、1本の設定ミスが3本ぶんに拡散しました。3本とも、著者名の年数の記述に同じミスが入っていました。

暴走のダメージは、本数に比例するのではなく、掛け算で効きます(AIエージェント安全設計 — Zenn)。1本の間違いを1本で止めるのと、それが3本に伝播するのとでは、修復工数がまるで違いました。

どう直したか

やめた後は、次のシンプルな2つに戻しました。

  • 1日1本までを、コード側でハードキャップとして持たせる
  • そのキャップは環境変数で外せるが、自動処理からは外せないよう仕組み側で締めておく

今は、「たくさん書ける晩」でも1本しか書かない、という思想で固定しました。溜まったネタは、翌日以降の予定日に順番に並べます。

1日1枚の付箋しか貼らない週間カレンダーに、2枚目を貼ろうとした手を静かに押さえている場面

これは、生成AIのガードレール設計でよく言われる「破壊的操作の物理的な遮断」の発想に近い話です。プロンプトで「やりすぎないで」とお願いするのではなく、そもそも呼べない構造を作っておく。

経営者の実務で言い換えると、AIを社内に入れるときも同じです。「気をつけて使ってね」で運用するより、そもそも一度に多くを動かせない仕組みにしておくほうが、事故ったときの被害が小さく済みます。

4. やめた③ 「あとで実例を入れる」プレースホルダ運用

3つ目は、記事本文の中に【ここに実例】と書いた箱を置いておく、という運用でした。

どう動いていたか

AIには、記事の一次情報として「クライアントの事例をあとで代表が入れる」前提で本文を書かせていました。本文の中には【ここに実例】という文字列が仮に置かれ、翌朝、私が実際の事例をそこに埋める、という段取りです。

「AIは骨組み」「人は肉付け」の分業として、当時はこれが正解に見えました。

何が折れたか

始めて数日後、その【ここに実例】が、埋められないまま公開直前まで残っていたことがありました。私が朝バタバタしていて、埋めるのを忘れた日です。

幸い、9時前に気づいて公開を取り消しましたが、「あとで埋める」を前提にしたブロックは、埋め忘れが必ず起きる、と分かった瞬間でした。

これは私に限った話ではありません。フォーム設計の解説記事でも、プレースホルダーがラベルの代わりに使われた入力欄では、後で見返したときに何を入れる欄か分からず入力ミスや空欄が発生しやすい、という指摘が繰り返し出てきます。「あとで入れる」箱は、あとで入れられない、という構造は、業種を超えて同じでした。

どう直したか

決めたのは、「そもそも実例なしで完結する記事構成にする」という切り替えでした。

  • 【ここに実例】は本文から消す
  • 代わりに、業界統計・公式ガイドライン・自社の実測を根拠にする
  • クライアントの事例がその記事に本当に必要なときだけ、書く前に明示的に「今回は入れる」と宣言する

この判断で、AIが書いた原稿を、私がそのまま朝読んで、そのまま出すという一発通しの状態に近づきました。

「やめた3つの設計判断」と書かれた紙を挟んで、2人が向かい合って中身を確認している場面

経営者の実務で言い換えると、社員に「あとで直しといて」と依頼した仕事は、たいてい直されません。「あとで」を仕組みから抜くと、AIも人も、ちゃんと動きます。

5. 3つに共通していた「1つの発想」

3つの設計判断は、それぞれ別のところで折れました。しかし、やめた後に振り返ると、共通していた失敗の型は1つだけでした。

「後から直せる」を前提にした設計は、後から直せない。

  • ★ポインタは「次の朝に★を進めればいい」と思っていた → 進めなかった
  • 1晩複数本は「暴走したら止めればいい」と思っていた → 止まらなかった
  • プレースホルダは「朝に埋めればいい」と思っていた → 埋まらなかった

3件とも、運用側の私の意志力に依存する設計でした。意志力は毎日同じ量では出ません。夜遅い、朝忙しい、他の業務に手を取られる。そのときの1回の判断ミスで、翌日の記事が飛ぶ、という構造を作ってはいけなかった、というのが結論です。

3つの設計判断の、やめる前と後の週次書き直し件数の指数比較グラフ

3つの手直し後、同じ運用の週に発生する書き直し・落穂拾いの件数は、指数で見て1割以下になりました。1週間の作業の中で、朝の緊急対応に使う時間が消え、その時間が新しい企画のリサーチに回るようになったのが、いちばん大きな変化でした。

6. 経営者にとっての翻訳 —— AIを業務に入れるときの3つの問い

私の話は「毎晩ブログを書く仕組み」ですが、同じ穴は、社内でAIを使い始める会社ならどこでも踏みます。

もしこれからAIを業務に入れようとしているなら、私からは3つの問いをお渡ししたいです。

  • その運用は「毎晩、あなたが正しく判断できる前提」になっていないか? —— 意志力に頼らない仕組みに寄せる
  • その運用は「暴走したら止められる前提」になっていないか? —— そもそも一度にたくさん動かない設計にする
  • その運用は「後で人が直せる前提」になっていないか? —— 後で直す箱を、最初から作らない

AIの設計でいちばん強い判断は、「何を入れるか」ではなく「何をやめるか」でした。

私は建設現場の実務を22年やってきて、6年目からずっと現場は「決めごとが少ないほど回る」という肌感覚を持っています。AIの運用も、まったく同じでした。

御縁では、AIを業務にどう入れるかの入口の1〜3日を、経営者の方と一緒に整理するご相談をお受けしています。私が自社で踏んだ穴も、そのまま共有します。「うちは何からやめておくべきか」を一緒に見ていただければと思います。

Masaharu Ishimoto

この記事を書いた人

Masaharu Ishimoto(御縁 GROWTH)

AIエキスパート / 現場実務22年

22年間ずっと現場側で実務をしてきた人間が、いまはAIエージェントを毎日の業務に組み込んで運用しています。うまくいったことも、任せて失敗したことも、そのまま書いています。

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毎日1本AI執筆でSEOは上がるのか(自社実験 経過報告 第3回)

8週間分の週次レポートを横1列に並べて俯瞰した机の上

御縁 GROWTH ロゴ

前回、5週間で30本まで積み上げて、GA4合計は66ページビュー・コンバージョン0、と書きました。

あれから3週間、開始から数えると約2ヶ月が経ちました。同じ実験をそのまま続けています。今日はその経過報告 第3回です。

先に結論を書きます。累計52本まで積み上げましたが、ページビューは74・コンバージョンはまだ0のまま。数字の伸びは前回よりさらにゆるやかで、代わりに見え始めたのは「壊れ方の質が変わってきた」ということでした。 この2ヶ月で運用を回し続けた立場から、何が起きたかを順番に書きます。

8週間分の週次レポートを横1列に並べて俯瞰した机の上

1. 前回のおさらい

第2回(経過報告 第2回)で書いたのは次のことでした。

2026年7月22日から8月27日までの37日間で累計30本を公開し、GA4合計は66ページビュー・66セッション・コンバージョン0。ラインで見ると、住宅ライン11本の48PVがこの期間の約7割を占めて、他の3ライン(建設・AIの学び・サービス)はまだ本数が薄いか、反応が薄いか、あるいはその両方でした。

そこから見えた暫定的な結論が、「AIを賢くしようとするより、AIに毎回渡す側を整えるほうが早い」というもの。

第3回はこの続きです。同じ指標で並べ直すのがこの経過報告の設計なので、指標は第1回・第2回と揃えます。

2. 約2ヶ月経過の実測値をそのまま出す

2026年7月22日から9月17日までの58日間で、累計52本を公開しました。

GA4(Googleアナリティクス)の合計は、本記事執筆時点で次の通りです。

  • 累積ページビュー: 74
  • 累積セッション: 74
  • 累積コンバージョン: 0

第2回の時点で30本66PVでしたから、そこから3週間で22本増やして、追加分のPVは8、というのが素直な読み方です。本数は1.7倍、PVは1.1倍。新しく足した記事ほど、まだ数字が乗っていない、という前回書いた傾向がさらに強くなっています。

07-22から09-17までの58日間でAI執筆した公開記事本数と、そのGA4合計ページビューの週次推移(自社実測)

もう少し具体的に見ると、上位3本の顔ぶれは前回とほとんど変わりませんでした。

  • 1位: #4「住宅会社のホームページ集客 完全ガイド」(P1ハブ)が14PV
  • 2位: #8「AI検索時代の住宅会社集客ガイド」(P3ハブ)が10PV
  • 3位: #7「GA4計測改修の前後で何が変わるのか」(P2)が9PV

第2回と同じ3本が同じ順位で並んでいます。この3週間で入れ替わりは起きていない。上位3本が全体の44%(33/74)を占めていて、上と下の差が広がるほうに傾いた格好です。

「本数を増やせば平均PVが上がる」という素朴な仮説は、少なくともこの58日間では成立していません。それどころか、本数を増やすほど1本あたりの平均は下がっていく(第2回=2.2PV / 第3回=1.4PV)——新しい記事にまだインデックスと評価の時間が乗っていないだけ、という一般相場(新規サイトのインデックス反映まで数週間〜数ヶ月/SEO効果は3〜6ヶ月)と、私が見ている景色は矛盾していません。

つまり、いま出ているのは「本数の効き目」ではなく「時間の効き目」 です。この違いを取り違えると、続ける・やめるの判断が狂います。

3. ラインごとの偏りは、前回よりさらに強まった

ラインで分けて足してみます。

  • 住宅ライン(P): 18本で51PV(1本あたり2.8PV)
  • 建設ライン(C): 20本で17PV(1本あたり0.9PV)
  • AIの学び(A): 7本で5PV(1本あたり0.7PV)
  • サービス紹介(S): 6本で1PV(1本あたり0.2PV)

第2回では住宅ラインだけが反応の芽を出していると書きましたが、建設ラインを本数で追い越したのに、PVでは住宅の3分の1に届いていない、というのが第3回の読み方です。

住宅・建設・AIの学び・サービスの4ラインの累計PVを帯の長さで比較した俯瞰

住宅と建設で、本数はほぼ並んだ(P=18 / C=20)のに、PVは住宅51対建設17で、この差はほとんど詰まりませんでした。

建設のPVがなかなか乗ってこない理由は、いまの時点では3つ仮説を持っています。

1つ目は、単純に新しい記事が多くて時間切れなだけ、という仮説。第2回の時点で建設は11本しかなく、そのうち古い記事も1本1〜4PVの小さな粒でした。建設20本のうち、公開から1ヶ月以上経ったものはまだ半分です。3〜6ヶ月の一般相場に当てはめると、判断はまだ早い。

2つ目は、建設読者の検索行動と、私の記事タイトルが噛み合っていない、という仮説。建設の現場所長が実際にGoogleに打ち込む言葉は、私が想像する言葉よりもっと具体的で狭いのかもしれません。「変更協議資料 書き方」「施工計画書 テンプレート」「現場監督 書類 多すぎる」——このあたりの長尾クエリを、私はもう少し丁寧に拾えていない可能性がある。

3つ目は、建設現場の意思決定者は、そもそも仕事中にブログを読まないという仮説。日中は現場にいて夜に事務所で書類を書くという生活リズムだと、Googleでブログを読むタイミング自体が薄い。この場合、SNSやメルマガの経路をきちんと持たないと、記事の中身がよくても届かない。

第3回の時点では、この3つを切り分けるほどの材料はまだありません。第4回でSearch Consoleのクエリ別データを並べてから、どの仮説が正しそうかを詰めます。

AIの学び(A線)とサービス紹介(S線)はまだ本数が7本・6本と少なく、PVで良し悪しを語る段階に達していません。両方とも「読んだ人がすぐ問い合わせに変わる」ことを直接期待するラインではなく、指名検索と滞在時間で評価するべきライン、というのは第1回・第2回と変わりません。

4. この3週間で「壊れた」こと4つ

第1回・第2回と同じで、AI運用でいちばん怖いのは「動いているように見えるけれど、実は動いていない」状態でした。

第3回の期間でも、同じ類の壊れ方が4回起きました。それぞれ書きます。第2回で書いた4件と比べると、質が変わっています。前回は「1本1本のバグ」でしたが、今回は「システムの外側(認証・使用枠・スケジュール)」で落ちるものが多い。

この期間に起きた4件の壊れ方と、気づくまでにかかった時間の俯瞰

① 承認拒否で予約投稿が止まった。夜間タスクは「事前に許可した文字列のコマンドだけが動く」設計です。9月上旬、スクリプトの呼び出し方を微妙に変えたのですが、新しい書き方は承認リストに入っていなかった。記事本文とSNS文までは仕上がっていたのに、09:00公開の枠は空のまま。気づいたのは朝の6時間後でした。この失敗は第2回でも一度書いていて、同じ形の再発です。

② 夜の途中でAIの使用枠を使い切って中断した。Claude Codeには1日あたりの利用枠があり、それを超えると途中で止まります。9月中旬のある夜、記事の執筆と画像生成で使用枠を先に食ってしまい、投稿の直前で中断しました。「動ききれずに止まった」わけです。認証切れと使用枠切れは似た症状で出るのですが、原因が違うので直し方も違う。気づいたのは翌朝の6時間後でした。

③ 事前チェックで一晩まるごと落ちた。夜間ループの最初に、外部サービスとの疎通を確認する事前チェックが走ります。9月中旬のある夜、その事前チェックが応答待ちで数時間ぶら下がったままになり、続きの処理が始まらずに一晩が終わりました。「動きが始まらずに止まった」という壊れ方です。気づいたのは翌朝の6時間後。

④ 前夜の穴埋めで、翌日の枠まで先取りした。前夜の②で公開枠が空いたので、翌日の夜間ループが「昨日の分を今日書く」ように動いたのですが、その日の枠まで一緒に埋めてしまった。結果、その次の日の09:00公開が空くという、穴埋めが穴を作る壊れ方です。気づいたのは昼の15時間後。

4件を並べると、気づくまでの時間が「6時間 → 6時間 → 6時間 → 15時間」と、前回(6時間 → 3日 → 15時間 → 19日)よりだいぶ短くなりました。「動かなかったこと」自体を朝の通知に含める仕組みは第2回で入れたので、気づきの速さは前回の学びが効いた、という言い方ができます。

5. 壊れ方の質は、確実に変わった

第2回のときは、「1本の記事を仕上げるところで詰まる」失敗が中心でした。ログの不備、承認リストの取り違え、経歴年数の混在、氏名の誤字。どれも「今日の1本」の中で完結する話です。

第3回で目立つようになったのは、「システムの外側との折り合いで落ちる」失敗のほうでした。認証セッションの切れ、AIの利用枠の切れ、スケジュール判定の副作用、事前チェックの応答待ち。どれも、記事の中身とは無関係の場所で止まっています。

これはある意味、運用が一段進んだ証拠でもあります。中身のバグは第2回でだいぶ潰したので、次に表面化するのは「外との境目」の失敗、という順番になっている。

同じ4件を、直したうえで再発させていません。それぞれ次の手を打ちました。

  • ①:スクリプトの呼び出し規則を1つに固定し、承認拒否が2回続いたら粘らずに理由をログに書いて終わる、という手順に統一
  • ②:AIの利用枠切れと認証失敗を、別々のエラーコードで区別できるようにした(同じ症状で終わってしまうのが最大の問題だった)
  • ③:事前チェックにタイムアウトを付け、1つのチェックのハングで一晩を丸ごと落とさないように直した
  • ④:翌日への繰り上げに「今日の分の枠を先に確認する」ガードを入れ、穴埋めで穴を作らない仕組みにした

そして、次に切れそうな認証セッションは、切れる3日前から予告通知が来るようにしました。これで「気づいたときには切れていた」を防げる想定です。効いたかどうかは第4回で確認します。

6. うまくいったこと・見え始めたこと

失敗を書いた分だけ、うまくいったことも書きます。

まず、記事1本あたりの平均品質は、私の主観では上がりました。第1回のころは「同じ構図の画像が4枚中3枚」だったり、経歴の年数が記事によってばらついたり、といった露骨なほころびが目立ちました。第3回時点ではそれらはほぼ消えて、校閲工数は明らかに減っています。

原因は分かっていて、第2回で書いた「AIに毎回渡す側の型を整える」運用が、この3週間でさらに固まったからです。建設ラインで書いてはいけない5項目(採用比較・派遣扱い・AI最終判断・役所窓口・特定名の掲出)、AIラインで必ず入れる失敗談、サービスラインで書かない具体的な金額——こういうラインごとの禁止事項を、AIが読みにいく側の場所を1つにまとめたので、記事間で扱いがずれる事故が減りました。

次に、内部リンクの厚みが少しずつ効き始めています。第2回で上位に入っていた#4(P1ハブ)・#8(P3ハブ)は、この3週間で新しいスポーク記事から2〜4本ずつリンクが増えていて、ハブ側のPVも少しずつ底堅くなっています。新しい記事から古いハブへ人が回る動線は、8週目に入ってようやく感触が出てきました。

そして、Google側の評価軸とのすれ違いは、いまのところ起きていません。2026年3月・8月のコアアップデートで示された方向——「独自の調査・事例・体験が薄い記事は評価が下がる」(2026年3月Googleコアアップデート/京谷商会、2026年8月最新/Speee)——と、私が毎回入れている「建設実務22年からの一次情報」は、方向としては合っているはずです。少なくとも、この3週間で公開停止・大幅な順位下落は起きていません(もっとも、そもそもの順位が低い段階なので、そこは楽観できない)。

AIで量産して評価を落とす、という国内外で報告されている失敗パターン (AI生成コンテンツの可視性低下/ペタビットマーケティング)を横目に見つつ、「量は増やすが、一次情報を必ず織り込む」という原則を崩さない、というのが、いまのところ効いているように見えます。

7. 第4回(3ヶ月時点・10月末)に見る指標

指標は変えません。第1回・第2回・第3回と比べられるように、フォーマットも変えません。

紙に書かれた「壊れ方の質が変わった」を挟んで話している場面
  • 記事本数(累積)
  • ページビュー・セッション・コンバージョンの合計
  • ライン別の反応差(1本あたりPVで比較)
  • 検索クエリ別のクリック数(Search Consoleの数字を第4回から追加する予定・第3回では実装が間に合わなかった)
  • 壊れた回数と、気づくまでにかかった時間

第4回は開始から約3ヶ月経過(累積80本前後)、新規サイトの検索順位が動き始める一般的な相場(freesquare)に本格的に差しかかる時期です。「本数の効き目」と「一次情報の効き目」のどちらが先に立ち上がるかが、そこで一度見えるはずです。

そして前回書いた通り、=もし第4回でもコンバージョンが0のままなら、それは「読まれていない」からではなく「問い合わせにつながる書き方をしていない」からです=。その場合は本数を減らして構成を練り直す、という判断をこの経過報告の中で書きます(続けていることを美化しないルールです)。

第3回時点での私の暫定的な結論は、「毎日1本のAI執筆は、記事の中身より運用の外側(認証・使用枠・スケジュール)を整えることのほうが重い」、というものです。中身は型に落とせば揃うので、量を続けるほど外との境目の設計品質が、コンテンツそのものより効いてきます。

AIをブログに入れるかどうかで迷っている方は、「毎日書けるか」よりも「毎日回るか」を先に見積もったほうがいい ——2ヶ月続けた立場からは、そう思います。

---

第3回はここまでです。第4回は10月末(3ヶ月時点)を予定しています。AIブログを検討中の方は、続きの号もあわせて読んでいただけると判断材料として使いやすいはずです。

御縁の代表 石本 政晴 —— 建設実務22年・現在はAIエキスパートとして中小企業のAI導入支援をしています。

Masaharu Ishimoto

この記事を書いた人

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毎日AIに使う3つの型 —— プロンプトの土台・チェック手順・引き継ぎメモ

手元のメモを見ながら、AIに毎回渡す土台の文章を書き足している場面

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「プロンプトの書き方」を検索する経営者が、この1年で本当に増えました。

私は自社のブログをAIに書かせて毎晩1本、翌朝9時に自動で公開する運用を続けています。今日でちょうど43日目、公開本数は32本を超えたところです。

その中で、毎日必ず使い続けている"型"は、たった3つしか残っていません。凝ったプロンプトの書き方ではなく、この3つを最初に決めておくと、AI活用は少しずつ会社に積み上がります。

今日は、その3つの型それぞれの中身と、途中でうまくいかなかった話を、そのまま書きます。

手元のメモを見ながら、AIに毎回渡す土台の文章を書き足している場面

1. 「良いプロンプトを毎回考える」は続かない

まず、業界の潮目がすでに変わっています。

2026年に入ってから、AIの世界では「プロンプトエンジニアリング」から「コンテキストエンジニアリング」へ、という言い方をよく見るようになりました(コンテキストエンジニアリングとは? — Salesforceブログ、プロンプトエンジニアリングは終わった? — cloco)。

難しそうな言葉ですが、中身はシンプルです。1回のプロンプトを磨くより、AIが仕事するときに「何を知っている状態か」を設計する、というだけの話です(プロンプトエンジニアリングとの違い — Findy Team+)。

私はこれを難しく捉えず、「AIに毎回渡す3枚を決める」という形で運用に落としました。それが以下の3つです。

  • 型1: 土台 —— 毎回一緒に渡す「うちのルール」
  • 型2: チェック —— 生成された後、必ず通す関門
  • 型3: 引き継ぎ —— 昨日から今日のAIへ渡す1枚メモ

順に見ていきます。

2. 型1: プロンプトの土台 —— 毎回一緒に渡す「うちのルール」

1つ目は、AIに何を頼むときも、指示文の前に必ず一緒に貼りつける短い文書です。私はこれを「土台」と呼んでいます。

土台に書くのは、次の4つだけで十分でした。

  • 役割: AIがどんな立場で書くか(例: 建設実務の経験があるライター)
  • 読者: 誰に向かって書くか(例: 中小企業の経営者。ITに明るいとは限らない)
  • NG表現: 使ってはいけない言い回し(例: 「必ず〜になる」「絶対に〜」)
  • 出力の形: 章立て・文字数・段落の長さの目安

2026年のプロンプトの解説記事でも、この「役割・読者・NG・形式」の4要素はほぼ共通して挙げられています(プロンプト設計7原則 — Uravation、プロンプトの書き方完全ガイド — OptiMax)。

机上にA5カードを横一列に3枚並べた俯瞰。左から土台/チェック/引き継ぎ

土台の効き目は、書いた瞬間には出ません。効いてくるのは、同じ土台を10回・20回と貼り続けたあとです。AIが「うちの会社の人」として振る舞い始め、頼み方を短くしても意図がずれなくなります。

失敗した話も1つ書いておきます。運用を始めた最初の頃、私は土台を欲張って長く書きすぎました。禁止表現を20個、注意事項を15個並べたら、AIは長い注意書きの後半をだんだん無視するようになりました。

土台はA4半分に収まる長さにする、というのが今の私の目安です。長くしたくなったら、それは土台ではなく、次に説明する「チェック手順」に回します。

3. 型2: チェック手順 —— 生成された後、必ず通す関門

2つ目は、AIが書き終えたあとに必ず通す3項目のチェックリストです。

私が使っているのは、この3項目だけです。

1. 数字は本文で言っている値と、引用元・自分の実測値と一致しているか 2. 氏名・固有名詞の表記は正しいか 3. 引用リンクは実在するURLか(AIが作った架空のURLではないか)

これは、以前このブログで書いたAIに任せて事故りかけた話で扱った失敗から生まれた項目です。

正直に書きます。私はAIに書かせた記事7本で、自分の建設実務の年数を「20年」「22年」で混在させたまま公開してしまったことがあります。3本では自分の名前の漢字も間違えていました(雅治/正治/増本 正浩)。

これは「AIが悪い」のではなく、チェックを型にしていなかった私の運用不備でした。この3項目を最後に必ず人が通すようにしてから、同じ種類の事故はゼロです。

3項目のチェックリストに赤ペンで印を付けているマクロ接写

2026年の生成AI導入ガイドでも、「チェックリストを事前に決めて、AIに自分で採点させ、最後は人が突き合わせる」という2段構えが推奨されています(AIの回答品質チェック10項目 — ゼットリンカー)。

ここで大事な線引きが1つあります。AIに「自分の出力を採点して」と頼むことはできますが、それは人による確認の代わりにはなりません。同じAIが書いた文章を同じAIが採点しても、同じ思い込みが素通しになるだけです。

数字・氏名・引用リンクの3つだけは、最後に人が目で突き合わせる。この線は動かさない方が無難です。

2026年3月31日に更新されたAI事業者ガイドライン 第1.2版でも、AIエージェントの業務利用では「重大な影響が生じ得る場面で、人間が判断を介在させる仕組み」を社内ルールに反映することが明記されました(AI事業者ガイドライン第1.2版について — 経済産業省)。中小企業でも、この線引きから逃げない方が長い目で楽になります。

4. 型3: 引き継ぎメモ —— 昨日から今日へ渡す1枚

3つ目は、AIのセッションは切れるという前提で運用するための1枚メモです。

現在のAIは、会話のウィンドウ(コンテキストと呼びます)に上限があり、そこから外に出た情報は参照できません。昨日話したことは、今日別のセッションを立ち上げると、ほぼ完全に忘れられています(AIはなぜ前の話を忘れるのか — note)。

この対策として、AI業界では「ハンドオフメモ」や「HANDOFF.md」という呼び方で、次のセッションに渡す1枚メモを作る運用が定着してきました(Claude Codeのカスタムスラッシュコマンドでセッション引き継ぎノートを生成する — ヌーラボ、HANDOFF STATEの意味や活用法 — ユニバーサルマーケティング)。

これは中小企業の言葉に置き換えると、社内の引継ぎノートとまったく同じです。担当者Aから担当者Bに仕事を渡すときに、その日の状況を1枚にまとめる、あれです。

1枚の引き継ぎメモを2人で覗き込みながら、次の担当に渡す内容を確認している場面

私が毎晩AIに渡している引き継ぎメモには、この4項目だけを書いています。

  • 昨日書いたこと: タイトル・扱った話題・使ったソース
  • 今日渡すこと: 次の候補と、なぜそれを選んだか
  • 空いた枠: もし前日が落ちていたら、どの日が抜けているか
  • 直近の失敗: 直前で気づいた事故と、次に同じ轍を踏まないための対策

「昨日書いたこと」の欄が一番効きました。これを書き始める前、翌日のAIは前日と似た切り口の記事を書こうとしていました。切り口の重複を人が毎回検知するのは骨が折れます。1行渡すだけで、AIは自分で違う角度を探しに行きます。

もう1つ失敗を書いておきます。引き継ぎメモを作る前、私は代わりに「設計書のなかに★マークを付けて、次に書く記事の目印にする」という運用をしていました。書いた記事の★マークを外し忘れると、AIは同じ記事を延々と書こうとします。実際に8晩、ブログの自動化が止まったまま気づけませんでした。

この失敗のあと、目印運用をやめて、「引き継ぎメモにその日の状況を書き出す」型に切り替えました。人にとっても、AIにとっても、状況を書いて渡す方が、目印を維持するより持続します。

5. なぜ3つに絞るのか

型を作り始めると、増やしたくなります。

「これも入れておこう」「あれも書いておいた方が安全だ」——気がつくと、10個・20個の型ができています。ですが、型は増やすほど守られなくなります。これは自分でやってみて、痛いほど確かめました。

私が3つに残った理由は、この3つが動詞と1対1に対応しているからです。

  • 土台 → 毎回「入れる」もの
  • チェック → 生成後に必ず「通す」もの
  • 引き継ぎ → 明日に「渡す」もの

「入れる・通す・渡す」の3動詞が回っていれば、AI活用は日々少しずつ会社に積み上がります。増やすなら、この3つのどれかの中身を厚くするのが先です。新しい型を4つ目・5つ目と作るのは、あとからでも間に合います。

大企業のガイドラインをそのまま真似ないことも大事です。自社で回る最小構成から始める方が、結果的に長く続きます。

6. 明日から始めるならこの順番

もし、ここまで読んで「うちでもやってみようかな」と思われた方がいたら、この順番をお勧めします。

  • 今日: 土台をA4半分に書く。役割・読者・NG・出力の形の4項目だけ
  • 今週中: チェック項目を3つに絞る。数字・氏名・引用リンク、から始めるのが安全
  • 明日から: 引き継ぎメモを1日1行から書き始める。書式は後で整えれば良い

3つ揃えるのに1週間もかかりません。分厚いマニュアルや高価なツールから入るより、この3枚を回す方が、社内で「AIが実際に効いている」という感触が先に出てきます。

7. まとめ

毎日AIに使う型は、土台・チェック・引き継ぎの3つで足ります。凝ったプロンプトを毎回考えるより、この3枚を回す方が、AI活用は会社に積み上がります。

  • 土台は毎回一緒に渡す「うちのルール」。A4半分に収める
  • チェックは生成後に必ず通す3項目。数字・氏名・引用リンクは人が最後に突き合わせる
  • 引き継ぎメモは昨日から今日への1枚。「昨日書いたこと」の欄が一番効く
  • 増やしたくなっても3つに戻す。型は増やすほど守られない

御縁では、「うちも次の一手を打ちたい」というご相談をいただいたときに、まずこの3枚から一緒に書き起こすところをお手伝いしています。前回の記事「『ChatGPTは使っている』の次にやると効くこと」で書いた1枚と合わせて、明日の朝からでも回し始められる規模から入っていただいて大丈夫です。

Masaharu Ishimoto

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AIに任せてよかった仕事・任せられなかった仕事 —— 自社で試して分かった6つの線引き

机の上に、AIに任せてよかった3枚のカードと任せられなかった3枚のカードが左右に並んだ俯瞰

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私はこのブログを、毎晩AIに書かせています。

今晩で開始から43日目、公開済みが32本。企画・執筆・画像生成・予約投稿・SNS投稿文まで、朝9時公開の直前まで自動で流れる仕組みで運用しています。

そのなかで、「AIに任せて成果物が出た仕事」と「任せると必ず事故る仕事」は、はっきり分かれてきました。

今日はその線引きを、実際にやってみて分かった6つとして書きます。判断基準の一般論ではなく、自分の会社で試して当たり外れが出た仕分けです。経営者としてAIを社内に入れる順序を決めるときの、叩き台になれば。

机の上に、AIに任せてよかった3枚のカードと任せられなかった3枚のカードが左右に並んだ俯瞰

1. なぜ「6つ」で整理したか

一般論としては、AIに向く仕事と向かない仕事を仕分けるための問いはいくつか提案されています。たとえば「やり直しがきくか/正解に幅があるか/材料が手元にあるか/良し悪しを判断できるか」の4つで判定する整理が、実務向けにはよく紹介されています(AI業務効率化はどの業務から?渡せる仕事と渡せない仕事の見分け方 — Tradivance)。

考え方としては正しいのですが、自分でやってみると「4つの問いに当てはめれば決まる」というほど単純ではない、というのが実感でした。同じ業務の中でも、任せてよい部分と任せられない部分が線1本で分かれます。

だから私は、業務そのものではなく「AIに何を渡していたか」で6つに切り直しました。前半3つは任せて成果物が出た渡し方、後半3つは任せて事故った渡し方です。

AIに任せて長く伸びる3本と、途中で途切れる3本を並べた抽象俯瞰

2. 任せてよかった3つ

2-1. 下書きの整え(構成・章立て・見出し順)

いちばん最初に効いたのが、記事の下書きの整えでした。

たとえば「変更協議資料を書くときの中身」というテーマで書くとき、私は話したい要素を箇条書きで先に出します。「変更事由の3区分/変更内容の対比/概算の内訳/通っても通らない落とし穴」といった具合です。この5〜10個の要素を渡して、「これを読み手が迷わない順で並べ直して」と頼むと、見出しの並びと章の切れ目がすぐ返ってきます。

これは事故りませんでした。理由は、元の材料(何を書きたいか)が私の側にあって、AIは並び順を整えているだけだからです。順序が微妙なときは私が入れ替えますが、たたき台があるのと白紙から並べるのでは、かかる時間がまるで違います。

具体的にどれくらい違うかと言うと、以前は1本の記事の構成を組むのに30分〜1時間かかっていたのが、いまは10分程度で収まっています。構成を組む工程を短くできると、材料集めと本文の言い回しに時間を残せる。これが大きい。

2-2. 調査結果の要約

Web検索で拾った3〜5本の記事を貼り付けて、「この中から、住宅会社の広報が気にする数字だけ抜き出して」と頼むのも、事故りませんでした。

これも、元になる正解が別の場所にある仕事です。AIは記事の中に書かれている数字を拾い出しているだけで、数字そのものを生み出してはいません。だから間違いにくい。

ただし、要約から抜き出した数字をそのまま本文に貼るのは危ない、というのが実測での注意点です。要約は「元の記事に書かれていた」ことを保証するだけで、「元の記事が正しかった」ことは保証しません。だから私は、要約でざっくり当たりを付けてから、原典に戻って数字を拾い直す、という2段構えでやっています。

原典に戻る手間が入りますが、「まず一次情報を全部読む」のと「要約を先に読んでから当たりを付ける」のでは、読む本数が半分になります。これも時間の削り方として効きます。

2-3. 別の言い方への置き換え

3つ目は言い換えです。

同じ内容を、「経営者向けに」「現場所長向けに」「もっと短く」「もっと丁寧に」と、宛先や長さを変えて書き直させる仕事は、事故りません。元の意味が正解として存在していて、AIは表現だけ変えているからです。

私は1本の記事のリード文を、毎回3〜4パターン書き直させます。そこから自分が読者として引っかかったものを選ぶ、という使い方をしています。選ぶ材料が3つあるのと1つしかないのでは、選んだ後の納得感が違います。

「別の言い方に置き換える」は、社内文書やお客様への返信の下書きにも同じ形で使えます。1回目の下書きを人が書いて、それを「もう少し柔らかく」「もう少し具体的に」と書き直させる。これも、任せて事故らない渡し方です。

3. 任せられなかった3つ

ここから後半です。業界解説の記事では「AIが得意」とされていることでも、自分でやってみると事故る渡し方がありました。3つ書きます。

3-1. 数字の最終値

これは前回の記事(AIに任せて事故りかけた話 — 数字と固有名詞は人が確認する)でもそのまま書きましたが、数字の最終値だけは、最後に人が見ないと事故ります。

自分の経歴の年数(20年と22年の混在)、氏名の表記ゆれ(雅治・正治・増本)、実測データの集計値、料金の考え方に出てくる金額の桁——このあたりは、AIに書かせるとどこかで必ずずれます。

なぜ数字だけがこう抜けるのか。私が2件の事故を並べて考えた結論は、「もっともらしく書ける場所」だけが、もっともらしい候補にすり替わる、というものでした。文法チェックには引っかからず、AI自身も「これは矛盾している」と気づく手がかりを持ちません。

だから対策は難しくありません。「この記事の数字と固有名詞だけ、拾い読みで照合する時間」を、書き終わったあとで別に取ります。3分もかかりませんが、これを省いた8本で21箇所の年数混在と3件の氏名誤字が起きました。数字の最終値をAIに任せていい仕事は、いまのところ1つも見つかっていません。

任せる範囲を決める前の乱雑な机と、線引き後の整った机の左右対比

3-2. 判断そのもの

2つ目は、**「複数の選択肢のうちどれか一つを選ぶ」判断——これはAIに任せられませんでした。

たとえば、記事の書き終わりで「これは公開してよいか、下書きに戻すか」を決める場面。AI側にも「この記事は公開可」と言わせることは技術的にできますが、そう答えたときの責任がAI側に何もない。あとで内容に問題が見つかっても、AIは謝りません。損失は全部会社側に残ります。

同じ理由で、私が任せない判断はこのあたりです。

  • 記事を予約公開するか、下書きに戻すか
  • お受けする相談か、お断りする相談か
  • 関連記事に何を選ぶか(読者の動線設計)
  • 料金の考え方をどこまで明かすか

これらは、正解が1つに決まらず、選び方に会社の方針が乗っている仕事です。方針を選ぶのは経営側の役割で、AIに委ねると、選ばれた結果が偶然会社の方針と合致しているかどうかを、後から人が検証することになります。それなら、最初から人が選んだほうが早い。

経済産業省が2026年3月に公表した「AI事業者ガイドライン 第1.2版」でも、AIの出力を評価の参考にする場合は人間による合理的な判断のもとで説明責任を果たすことが求められています(AI事業者ガイドライン 第1.2版 — 総務省・経済産業省)。判断そのものを人が握るというのは、リスク管理ではなく、AIの使い方の設計そのものとして求められている、と私は読みました。

3-3. 相手固有の文脈

3つ目は相手固有の文脈です。これがいちばん、最初は分かりにくかった。

たとえば「初回相談で聞き出したその会社の状況」を踏まえて次の提案を書く、という仕事。AIには手元にその会社の状況がありません。「こういう会社です」と説明しても、説明した範囲を超えた背景——決算の締まり方、社内の力学、過去の失敗、代表の口癖——には手が届きません。

私はこれを最初、「もっと詳しく説明すれば済む」と思っていました。ところが、詳しく説明しようとすると、説明すること自体に時間がかかりすぎて、自分で書いたほうが早い。ここで、「AIに文脈を渡す時間」と「自分で書き上げる時間」を天秤にかけて、後者が短いなら任せない、というシンプルな線引きに落ち着きました。

具体的には、次のような仕事は任せませんでした。

  • 特定のクライアント向けの提案の骨子(会社ごとの事情に踏み込む)
  • 相談の一次ヒアリングの解釈(相手の言い回しの裏を読む)
  • 業界特有の言い回しの選び方(現場側の人にしか通じない微妙なニュアンス)

一方、「相手固有の文脈が要らない部分」——たとえば見積書の体裁や、お客様への定型的な返信の下書き——は、任せて事故りません。相手が違っても書式が同じ仕事は、AIに向いています。

紙のメモを見ながらAIに指示文を書き込んでいる場面

4. 6つを表にすると

言葉で書いた6つを、いちど並べて見比べます。

| 渡し方 | 任せた結果 | 判定の理由 | |---|---|---| | 下書きの整え | 事故らない | 元の材料が人の側にある | | 調査の要約 | 事故らない | 元の正解が原典側にある | | 言い換え | 事故らない | 元の意味が正解として決まっている | | 数字の最終値 | 必ず事故る | 「もっともらしい候補」にすり替わる | | 判断そのもの | 必ず事故る | 選んだ結果の責任がAI側に無い | | 相手固有の文脈 | 事故るか、任せる時間より書く時間のほうが短い | AIの手元に相手の背景が無い |

前半3つの共通点は、「元になる正解が別のどこかにある」。後半3つの共通点は、「元になる正解が、AIの中にも人が渡した情報の中にも無い」。

これがいまの私の、6つの線引きです。

5. この線引きを、業界の一般整理と重ねてみる

参考までに、業界解説として整理されている12の事務作業の判定を横に置きます。中小企業の事務作業を「丸ごと任せる/たたき台まで任せる/ソフト機能に任せる/人が判断する」の4分類で仕分けた例です(AIで業務効率化、結局どの作業が消えるのか — 中小企業×AI活用)。

中小企業の事務作業のうち、AIに丸ごと任せる/たたき台まで任せる/ソフト機能に任せる/人が判断する、の4分類の内訳(一般的な整理)

分類の割合を見ると、「丸ごと任せる」は12業務のうち3つにとどまり、残り9つは何らかの形で人が関わる設計になっています。「人が判断する」領域は必ず残るというのは、事務作業全体に共通する構造のようです。

私の6つの線引きを、この4分類の考え方に重ねてみると、こう読めます。

  • 前半3つ(下書き・要約・言い換え)=「たたき台まで任せる」の範囲
  • 後半3つ(数字・判断・相手固有)=「人が判断する」の範囲

つまり、私の実測で分かった線引きは、業界解説と大枠では一致していたということです。ただし、業界の記事を先に読んで「そうか、これは任せていい・これはダメ」と信じるより、小さな仕事で試して当たり外れを一度自分で見たほうが、社内で説明するときに強い。これも経験値としての実感です。

6. 経営者の側から見たときの、渡す順序

読んでくださっているのは、社内でAIを入れるか、あるいはすでに入れて次にどう回すかを判断する立場の方だと思います。

この6つの線引きを、経営判断に落とすと、渡す順序はこうなります。

1. まず、「元になる正解が別のどこかにある」仕事から渡す。下書き・要約・言い換えの3つは、事故が出にくく効果も見えやすい入口です 2. 次に、その仕事の「数字と固有名詞と判断」だけを人が見る時間を、別に設ける。この3分〜5分の時間を省くと、必ずどこかで事故が出ます 3. 相手固有の文脈が要る仕事は、渡す前に「渡す時間と自分で書く時間」を天秤にかける。短い方を選ぶだけで、大きな失敗は避けられます

これは、AIを使わないうちからでも設計できます。むしろ、社内でAIを入れる前に、この順序を先に決めておいたほうが定着します。

前回の記事(AIを業務に入れるとき、最初に渡すべき仕事の選び方)で書いた「最初に渡す仕事の選び方」の、具体的な内訳がこの6つになると思ってください。

7. まだ試せていない領域

正直に書くと、この6つはまだ私の会社の実測での話です。業種によっては別の線引きがあるはずで、たとえば次の領域はまだ試せていません。

  • 金額の見積もり作成——見積書の体裁は任せられそうだが、単価表と過去実績をどう渡すかで結果が変わる
  • 社内のマニュアル作成——書き出し済みの手順があれば要約は任せられそうだが、暗黙知の言語化は不明
  • 顧客との交渉のたたき台——相手固有の文脈が強く出るため、渡し方が難しそう

これらは、依頼を受けて実際に触ったときに、経過報告シリーズ(毎日1本・AI執筆でSEOは上がるのか 第2回)のなかで書き足していきます。「試したことしか書かない」というルールは、A線の記事で自分に課しているものなので、ここは焦らずやります。

---

AIに何を任せるかは、業務ではなく渡し方で決まります。 「この仕事はAI向き」ではなく、「この仕事の、この部分の、この形の渡し方は事故らない」と、細かく切って渡す。それが1ヶ月半やってみた実感です。

社内でAIを入れる方の、順序を決める材料になれば十分です。

Masaharu Ishimoto

この記事を書いた人

Masaharu Ishimoto(御縁 GROWTH)

AIエキスパート / 現場実務22年

22年間ずっと現場側で実務をしてきた人間が、いまはAIエージェントを毎日の業務に組み込んで運用しています。うまくいったことも、任せて失敗したことも、そのまま書いています。

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毎日1本AI執筆でSEOは上がるのか(自社実験 経過報告 第2回)

窓辺のノートパソコンで累積の数字を静かに見つめている場面

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前回、「本数を増やせばSEOは上がる」は、少なくとも2週間では起きなかった、と書きました。

あれから3週間半、開始から数えると5週間が経ちました。同じ実験をそのまま続けています。今日はその経過報告 第2回です。

先に結論を書きます。5週間経って累積30本まで積み上げましたが、ページビューの伸び方はゆるやかで、コンバージョンはまだ0のままです。 ただし、この期間で見えたのは数字より運用の壊れ方のほうでした。何を直したかを、順番に書きます。

窓辺のノートパソコンで累積の数字を静かに見つめている場面

1. 前回のおさらい

第1回(経過報告 第1回)で書いたのは次のことでした。

2026年7月22日から8月6日までの16日間で14本を公開し、GA4合計は38ページビュー・38セッション・コンバージョン0。ラインで見ると、住宅ライン5本の27PVがこの期間の約7割を占めて、ほかの3ラインは反応の芽すら出ていない状態。

そこから見えた暫定的な結論が、「AIは「書く速度」を上げる道具ではなく、「一次情報を型にして貯める速度」を上げる道具として使うのが妥当そう」というものでした。

第2回はこの続きです。同じ指標で並べ直すのがこの経過報告の設計なので、指標も第1回と揃えます。

2. 5週間経過の実測値をそのまま出す

2026年7月22日から8月27日までの37日間で、累積30本を公開しました。

GA4(Googleアナリティクス)の合計は、本記事執筆時点で次の通りです。

  • 累積ページビュー: 66
  • 累積セッション: 66
  • 累積コンバージョン: 0

第1回の2週間14本で38PV・0CVでしたから、そこから3週間半で16本増やして、追加分のPVは28、というのが素直な読み方です。本数は倍以上、PVはだいたい1.7倍。新しく足した記事ほど、まだ数字が乗っていない、という状態です。

07-22から08-27までの37日間でAI執筆した公開記事本数と、そのGA4合計ページビューの週次推移(自社実測)

もう少し具体的に見ると、上位3本は次の通りでした。

  • 1位: #4「住宅会社のホームページ集客 完全ガイド」(P1ハブ)が14PV
  • 2位: #8「AI検索時代の住宅会社集客ガイド」(P3ハブ)が10PV
  • 3位: #7「GA4計測改修の前後で何が変わるのか」(P2)が9PV

第1回時点でトップだった#4は変わらず1位、2位と3位はどちらも第1回の後に公開したハブ記事とスポーク記事で、ここから伸びていました。逆に、公開して1〜2週間経っても0PVのままの記事も9本残っています。

「本数を増やすほど平均PVが下がる」ようにも見えますが、それは新規サイトでインデックス(Googleの検索対象への登録)に数週間かかるのが一般的な相場だからで(新規サイトのインデックス反映 — freesquare)、公開してすぐの記事は当然まだ数字が乗りません。第1回で公開した記事のうち、この5週間で追加のPVを稼げたのは上位3本にほぼ集中していた、という言い方が正確です。

3. ラインごとの偏りは、第1回とほぼ同じ

ラインで分けて足してみます。

  • 住宅ライン(P): 11本で48PV(1本あたり4.4PV)
  • 建設ライン(C): 11本で14PV(1本あたり1.3PV)
  • AIの学び(A): 3本で3PV(1本あたり1.0PV)
  • サービス紹介(S): 3本で1PV(1本あたり0.3PV)

第1回の時点で「住宅ラインだけが少し反応の芽を出している」と書きましたが、5週間経っても、その偏りはむしろ強くなっている、というのが第2回の読み方です。

住宅・建設・AIの学び・サービスの4本の帯の長さで反応差を表した俯瞰

住宅ラインが本数の割にPVを稼げている一因は、ハブ記事とスポーク記事の関係で内部リンクが厚くなっていることのようです。#4(P1ハブ)と#8(P3ハブ)に、周辺のスポーク記事から2本ずつリンクを張っているので、新しくスポークを1本足すたびに、ハブ側にも人が回ってきます。

建設ラインは本数を住宅と同じ11本まで積んでも、まだPVは住宅の3分の1以下でした。ここは正直、まだ読み解けていません。読者の検索行動が違うのか、私の書き方が建設読者に届いていないのか、それとも単に本数がもう少しいるのか。第3回までは判断を保留する予定です。

AIの学び(A線)とサービス紹介(S線)は本数がまだ3本ずつと少なく、反応差を語る前にサンプル不足です。両方とも「読んだ人が問い合わせに変わる」ことを直接期待するラインではないので、この2つは指名検索と滞在時間で追うことにします(Search Consoleの数字は第3回から並べる予定です)。

4. この5週間で「壊れた」こと4つ

第1回で書いた通り、AI運用でいちばん怖いのは「動いているように見えるけれど、実は動いていない」状態でした。

第2回の期間でも、同じ類の壊れ方が4回起きました。それぞれ書きます。

この期間に起きた4件の失敗と、気づくまでにかかった時間の俯瞰

① 8月12日、Macがログインしていなくて夜間ジョブが動かなかった。予約公開の準備は毎晩深夜2時にMacで走る設計なのですが、その日はスリープからログインに戻っていなくて、ジョブそのものが呼ばれなかった。この日は09:00の公開枠がまるごと空きました。手作業で穴埋めしたのですが、気づいたのは朝の6時間後でした。

② 8月13〜16日にかけて、3晩中2晩で夜間ループが停止していた。①の直後の週で、別の原因が2つ重なった状態です。「動かなかったこと」を朝の通知に含めていなかったのが根っこで、気づくまでに3日かかりました。この期間で公開できたのは1本だけです。

③ 8月18日、記事は書けたのに予約投稿だけができなかった。夜間タスクは「事前に許可した文字列のコマンドだけが動く」設計なのですが、私が途中でスクリプトの呼び方を「絶対パス」に書き換えていて、その書き方は承認リストに入っていなかった。4回連続で承認拒否になり、記事本文とSNS文までは仕上がったのに、09:00公開の枠は空のままでした。気づくまでに15時間。

④ 8月11日、自分の経歴の年数と氏名の誤字が公開記事に混じっていた。厳密には第1回の期間に混入した誤りを第2回の期間で発見・修正した話です。8本の記事のうち、経歴年数(建設実務20年/22年)の混在が21箇所、氏名の誤字が3件。この件は別記事にそのまま書きました。気づくまでに19日。

4件を並べると、気づくまでの時間が「6時間 → 3日 → 15時間 → 19日」とバラバラなのが分かります。運用の質は、失敗の件数より「気づくまでの時間」で決まる、と第1回で書きましたが、この5週間でそれを実測で確認した形です。

5. うまくいったこと・見え始めたこと

失敗を書いた分だけ、うまくいったことも書きます。

まず、上で書いた4件のうち①②③については、直したうえで再発させていません。それぞれ、次の順番で仕組みを入れました。

  • ①:朝の通知に「昨夜のジョブが走らなかった場合」も含めた(走らなかったこと自体を検知)
  • ②:夜間ループの経路に「事前チェックのタイムアウトで一晩を丸ごと落とさない」ガードを入れた
  • ③:スクリプトの呼び方を絶対パスから相対パスに戻し、承認拒否が2回続いたら粘らず理由をログに書いて終わる、というルールを手順書に書き足した

④はもう少し根っこの直し方をしました。同じ経歴や氏名を毎回書き直すのをやめて、正典を1箇所に置き、記事側からはそこを参照するだけ、という運用に切り替えました。AIに何度も書かせるのではなく、AIが読みにいく側の場所を1つにする、という発想です。これで、少なくとも同じ失敗は起きなくなりました。

次に、「次に書く記事の選び方」を大きく単純にしました。第1回の期間には、記事を選ぶための「印」を設計書のあちこちに散らして、その印を目印にAIが記事を選ぶ、という凝った仕組みで動かしていました。ところが、その印が陳腐化した瞬間に8晩まるごと空振り(第1回で書いた失敗)が起きた。

そこで、曜日ごとに書くラインを固定して、選ぶルールは「予定日が最も早い企画をとる」、これだけに絞りました。仕組みを凝るほど、その仕組みが壊れたときの被害が大きくなる、という当たり前のことを、遠回りして確認した格好です。

そして最後に、AIには「型」を毎回渡すという運用が、この5週間で少しずつ形になってきました。私の場合の「型」は、建設実務22年の経歴、正典化した氏名の表記、ラインごとの禁止事項(採用比較を書かない・派遣と読める表現にしないなど)、記事の構成テンプレといった、書き手側で毎回変わらない部分です。これをAIに毎回渡すようにしてから、「もっともらしく書けるから起きる事故」の発生頻度が下がりました。

ここまでの手応えは、「AIを賢くしようとするより、AIに毎回渡す側を整えるほうが早い」というものです。 これは第3回以降でも同じ指標で追い続ける予定です。

6. 第3回(3ヶ月時点・10月末)に見る指標

同じ指標で並べます。第1回・第2回と比べられるように、フォーマットは変えません。

紙に書かれた「壊れたときに、どれだけ早く直せたか」を挟んで話している場面
  • 記事本数(累積)
  • ページビュー・セッション・コンバージョンの合計
  • ライン別の反応差(1本あたりPVで比較)
  • 検索クエリ別のクリック数(Search Consoleの数字を第3回から追加)
  • 壊れた回数と、気づくまでにかかった時間

第3回は開始から約3ヶ月経過(累積60〜80本前後)、新規サイトの検索順位が動き始める一般的な相場(freesquare)に差しかかる時期です。「本数の効き目」と「一次情報の効き目」のどちらが先に立ち上がるかが、そこで一度見えるはずです。

そして、=もし第3回でもコンバージョンが0のままなら、それは「読まれていない」からではなく「問い合わせにつながる書き方をしていない」からです=。その場合は本数を減らして構成を練り直す、という判断をこの経過報告の中で書きます(続けていることを美化しないルールです)。

第2回時点での私の暫定的な結論は、「毎日1本のAI執筆は、SEO対策としてよりも、運用の壊れ方を先に潰していく訓練として意味がある」、というものです。数字より、壊れたときに、どれだけ早く直せたか——このもう1つの指標を、第3回でも同じ形で並べます。

---

第2回はここまでです。第1回と第3回のあいだに読めるように、次の号までは1ヶ月半ほど空きます。AIブログを検討中の方は、続きの号もあわせて読んでいただけると判断材料として使いやすいはずです。

御縁の代表 石本 政晴 —— 建設実務22年・現在はAIエキスパートとして中小企業のAI導入支援をしています。

Masaharu Ishimoto

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「ChatGPTは使っている」の次にやると効くこと —— 社内の型をAIに毎回渡す仕組み

ノートパソコンで社内ルールのドキュメントを一緒に見ながら、AIへの渡し方を確認している場面

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「うちもChatGPTは使っている」——ここ1年、経営者の方と話していて、この一言をいちばん多く聞くようになりました。

数年前なら「AIって、うちに関係あるの?」でしたから、変化は大きいです。ただ、その次に必ず出てくるのが、「使っているんだけど、正直、思ったほど楽になっていない」という言葉です。

私はこのブログをAIに書かせて毎晩1本、翌朝9時に公開する仕組みで運用しています。その仕組みを作る過程で、「使っている」と「効いている」の間には明確な段差があるということを、自分の会社でも痛いほど確かめました。

今日はその段差の話と、そこを越えるために何をやると効いたのか、逆に何をやって失敗したのかを、そのまま書きます。

ノートパソコンで社内ルールのドキュメントを一緒に見ながら、AIへの渡し方を確認している場面

1. なぜ「使っている」で止まる会社が多いのか

まず現在地の数字から確認します。

中小企業基盤整備機構が2026年3月に公表した調査によると、中小企業でAIを導入している割合は20.4%(全社的3.6%+一部業務16.8%)、検討中が18.6%です(中小企業のAI活用実態調査 — 中小機構)。

中小企業のAI導入率は20.4%(中小機構2026年3月公表)。ただし導入と定着は別で、2026年は定着が問われるフェーズに入った

数字の伸び方を見ると、「導入」までは進んできた会社が確実に増えています。ただ、問題はその次に起きています。

2026年に入ってから、業界のガイドや調査記事では「導入」と「定着」は別物という指摘が目立つようになりました。導入は「ChatGPTを契約して社員が使える状態にする」こと。定着は「社員が毎日の業務のなかで自然にAIを使い、それが当たり前になっている」ことを指します(生成AIを定着させる方法とは — JAPAN AI、中小企業の生成AI定着完全ガイド — BoostX)。

「ChatGPTを試したけど、結局誰も使わなくなった」——2025年以降、中小企業でこの声が急増しているとも報告されています(生成AIを使いこなす中小企業と使えない会社の差 — Anomaly)。

導入は済んだ。でも定着はしていない。ここが、今の中小企業の共通の踊り場です。

2. 「使っている」と「効いている」を分けているもの

私が自分の会社でAIを毎日動かしていて、いちばん強く感じているのはこの点です。

AIが効いてこない一番の理由は、毎回ゼロから頼んでいるから、です。

聞こえは当たり前ですが、実際の現場を見るとほぼこうなっています。担当者が思いついたときにChatGPTを開き、その場で「これ書いて」「これ要約して」と一発の依頼を投げる。出てきたものを手直しして使う。その依頼の内容は誰の手元にも残らない——だから次の週、同じ内容を頼むときは、また別の担当者がゼロから書き直す。

会社が毎回スタート地点に戻ってしまう構造です。これが続くと、AIを何回使っても社内に何も積み上がらない。使っている人は「ちょっと便利」で終わり、使っていない人は「面倒そう」で終わる。両方から「効いていない」と言われる、というのが定着していない会社の典型です。

3. 効いてきたのは「社内の型を、毎回AIに渡す」に切り替えたとき

私の会社で切り替えたのは、この一点でした。

その都度AIに指示するのではなく、うちの型(ルール・書式・NG集・言い回しの好み)を1つのドキュメントに書き溜めて、AIに仕事を頼むときは必ずそれを一緒に渡す。

机の上に社内ルールを書き出した付箋を色分けして並べた俯瞰イメージ

具体的にドキュメントに書いているのは、たとえばこういうものです。

  • あいさつ文の型、見出しの順番、段落の長さの好み
  • 使ってよい表現・使ってはいけない表現(建設業向けだと「派遣」「常駐」は書かない、といった業務判断も)
  • 数字を書くときの出典の付け方
  • 相手ごとの敬語のトーン
  • 断り方の言い回し
  • よくある質問と、それに対するうちの答え方

このドキュメントは、月に何度も書き足しています。「あ、ここはこう書きたかった」と気づいたら、その場で追記する。AIの出力を直したら、その直した理由もドキュメントに反映する。すると、次からAIは同じ間違いをしなくなります。

これは新しい発想ではなく、業界の解説記事でも「社内で過去に使ったドキュメントやレポートを例として与えると、組織固有の言語トーンや形式を反映した出力が得られる」という書き方で紹介されている定石です(ChatGPTプロンプトテンプレート完全ガイド — AI総合研究所)。

ただ、「聞いたことはある」と「毎日回している」の間には、また段差があります。私の会社でも、この仕組みを回してみるまでは「なんとなく良さそう」で終わっていました。

4. 失敗した話 —— ルールが陳腐化して、仕組みが8晩止まった

いいことばかり書いても信用ならないので、この方式で私が実際にやらかした失敗も書きます。

このブログを回している仕組みには、「次に書く記事はこれ」という目印をルールのドキュメントに書き込んでおく仕掛けが、当初ありました。目印を頼りにAIが毎晩「次に書く記事」を選び、書き上げて予約投稿する、という流れです。

うまくいっていたのは最初だけでした。目印は、記事を書き上げたら次の記事に付け替える必要があります。ところが、あるとき目印を付け替え忘れたまま数日放置してしまったのです。

すると、AIは毎晩ちゃんと動きにきて、目印の指す記事を見て「これはもう公開済みだから書く必要がない」と判断して、静かに終わっていました。ログには「該当なし」とだけ書いてあり、私が翌朝それを見るまで、8晩連続で1本も記事が書かれていなかったことに気づけなかったのです。

翌朝、仕組みが動いていなかったことに気づく画面のマクロ接写

これはAIが賢くないから起きたことではありません。むしろAIはルールに正確に従っていました。ルールの側が現実からずれていたのに、それを検知する仕組みが入っていなかった、というのが本当の原因です。

2026年7月27日にこの目印方式は廃止し、「予定日がいちばん近い記事から順に書く」という放っておいても陳腐化しない基準に置き換えました。以降、同じ理由で止まっていません。

学びはひとつです。AIに社内の型を持たせる仕組みは、ルールを書いたら終わりではない。ルールが古くなっていないか、ルールが現実とずれていないかを、定期的に人が見に行く運転席が必ずセットで要ります。

5. どこから始めるか(3つの手順)

「うちもやってみたい」と思ったときに、いきなり分厚いドキュメントを書こうとすると挫折します。私が実際に効いたのは、次の順番でした。

AIに渡すルール文書を、手元のメモを見ながら書き足している場面

手順1: 直近3ヶ月で「同じ質問をAIに何度もした業務」を1つだけ選ぶ

新規で仕組みを作るのではなく、すでにAIに何度も頼んでいる業務を選ぶ。ここに「毎回ゼロから頼み直している」ムダが必ず溜まっています。営業メールの返信、議事録の要約、問い合わせフォームへの一次回答——このあたりが最初の候補になりやすいです。

手順2: その業務の「うちの型」を、A4半分に書き出す

長く書かなくていいです。A4半分に収まる量で、次の3つだけ書きます。

  • この業務で守ってほしい形式(並び順・見出し・長さ)
  • この業務で使ってはいけない表現(社名の誤字防止・業界用語の使い分け)
  • 判断に迷ったときに人に戻すサイン(金額・固有名詞・法律に関わる話は必ず人に確認)

これが「社内の型」の最小単位です。分厚く作ろうとすると更新が止まるので、最初は必ず薄く始めます。

手順3: AIに仕事を頼むたびに、必ずこのA4を一緒に渡す

ここが定石を外しやすいところです。ChatGPTでも、Claudeでも、Geminiでも、新しい会話を始めたら毎回、この型を最初に読ませてから業務の指示を出す。「一度覚えたはず」と思って省略した瞬間から、AIはまた素の状態に戻ります。

Skills機能(保存したプロンプトを呼び出す機能)が使えるプランなら、その型をSkills化して、業務ごとに呼び出すのが実務的です(ChatGPTプロンプトテンプレート完全ガイド — AI総合研究所)。使えないプランでも、そのA4をコピペするだけで十分に効きます。手間はほんの数秒です。

この3手順の目的は「立派な仕組みを作ること」ではなく、「毎回ゼロから頼む」の状態から会社を1歩ずらすことです。1歩ずれるだけで、社内に何かが積み上がり始めます。

6. AIに「判断」まで任せない一線を、最初に決めておく

もう1つだけ、これから仕組みを作る方に伝えておきたいことがあります。

社内の型をAIに渡すと、AIの出力はどんどん自社らしくなります。すると、AIが最終判断まで下してしまう場面が出てきます。金額の提示、契約条件の返答、外部への公式コメント——このあたりでAIが「うちの型どおり」に返してしまうと、その返信を止められる人が誰もいなくなります。

2026年3月31日に更新されたAI事業者ガイドライン 第1.2版では、AIエージェントのような自律的に動く仕組みを業務に入れる際に、「重大な影響が生じ得る場面で、人間が判断を介在させる仕組みを社内ルールに反映すること」が明記されました(AI事業者ガイドライン第1.2版について — 経済産業省)。

これは大企業だけの話ではありません。「うちの型」を書くときに、そこに1行だけでも「ここから先はAIに任せず必ず人が返す」という線を入れておく——それだけで、後から仕組みが暴走する確率がぐっと下がります。

前回の記事「AIに任せて事故りかけた話」で書いた、自分の名前を3回も誤字で公開してしまった件も、遡ればここに該当します。数字と固有名詞は、AIがどれだけ「うちの型」を覚えたとしても、最後は人が確認する——この線は動かさない方が無難です。

7. まとめ

「ChatGPTは使っている」の次にやると効くのは、社内の型を1枚のドキュメントに書き、AIに仕事を頼むたびに必ず一緒に渡すことです。

  • 「導入」と「定着」の間の踊り場に、多くの中小企業が今います
  • 効いてこない一番の理由は、毎回ゼロから頼んでいる構造にあります
  • うちの型をA4半分に書き、毎回AIに渡すだけで、社内に少しずつ積み上がる状態に変わります
  • ただし、ルールが陳腐化しても検知できる仕組みをセットで作ること(私は8晩気づけずに落としました)
  • 数字・固有名詞・金額など、人が最後に見る線は最初に決めておくこと

御縁では、「うちも次の一手を打ちたい」というご相談をいただいたときに、まずこのA4半分から一緒に書き起こすところをお手伝いしています。分厚い研修や高価なツールから入る前に、この1枚だけでも試してみると、感触が変わるはずです。

Masaharu Ishimoto

この記事を書いた人

Masaharu Ishimoto(御縁 GROWTH)

AIエキスパート / 現場実務22年

22年間ずっと現場側で実務をしてきた人間が、いまはAIエージェントを毎日の業務に組み込んで運用しています。うまくいったことも、任せて失敗したことも、そのまま書いています。

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AIに任せて事故りかけた話 —— 数字と固有名詞は人が確認する

書類の氏名欄と年数欄に赤ペンの先が触れているマクロ接写

御縁 GROWTH ロゴ

私はこのブログを、AIに書かせています。

毎晩深夜、AIが次に書く記事を選び、本文を書き、画像を作り、翌朝9時公開の予約投稿にするところまで自動でやります。私が朝起きたら、記事はすでに公開直前の状態で待っている、という運用です。

そのうえで、AIに任せてよかった仕事と、任せると必ず事故る仕事は、はっきり分かれています。

今日はその後者の話——自分の会社で実際に事故りかけた2件を、隠さずそのまま書きます。どちらもAIが賢くないから起きた事故ではなく、もっともらしく書けるから起きた事故です。

書類の氏名欄と年数欄に赤ペンの先が触れているマクロ接写

1. なぜこの話を書くか

生成AIが事実と違うことを、あたかも正しいかのように書いてしまう現象をハルシネーションと呼びます。この言葉は聞いたことがある方も多いと思います(ハルシネーションとは — WEEL)。

社外の有名な事例だと、米国で弁護士がChatGPTに判例を調べさせてそのまま裁判資料に貼り付けた結果、架空の判例を6件引用していたことが発覚し、制裁を受けたというものがあります(米国のChatGPT架空判例事件 — ITmedia)。同じ類型の事件が2023年のニューヨーク州でも、2026年のカンザス州でも起きています。

こういう事例を紹介するだけの記事は世の中にたくさんあるので、私はここで「自分の会社で何が起きたか」だけを書きます。読んでいる方は、経営者としてAIを社内に入れるかどうか判断する立場だと思うので、事例より自分の実測のほうが役に立つはずです。

2. 事故その1:自分の経歴の年数が、記事によって違っていた

いちばん恥ずかしい話から書きます。

私の経歴は「22歳から一般土木の施工管理を4年、26歳から専門業種の技術職を18年、通算で建設実務22年」です。

ところが、AIに任せて公開した記事を後から通して読んだら、同じ経歴が「建設実務20年」と書かれている記事と「22年」と書かれている記事に分かれていたのです。

8本の記事で年数が20年と22年に分かれていた状態と、22年に統一した後の対比

2026年8月11日時点で、AI執筆で公開していた8本を全部あらためたところ、21箇所で年数の食い違いが混じっていました。多くの記事が「20年」と「22年」の両方の表記を、1本の中で行ったり来たりしていたのです。

なぜこうなったか。私自身が最初のころの記事で「建設実務20年」と書いていて、途中で「あ、通算で数えると22年だ」と気づいて直したのですが、AIは過去記事のスタイルを参照して次の記事を書くため、混在した状態のまま学習して、以降の記事にも両方を混ぜて書き続けていました。

恐ろしいのは、この誤りが「不自然に見えない」ことです。20年も22年も、どちらも建設経営者の経歴として何もおかしくない数字です。文法チェッカーには引っかからず、AI自身も「これは矛盾している」と気づく手がかりを持ちません。

3. 事故その2:自分の名前が、記事によって違っていた

もっと恥ずかしい話です。

私の名前は「石本 政晴(いしもと まさはる)」です。この記事の著者名として、下のプロフィールにも書かれている名前です。

ところが、AI執筆で公開した記事の中で、私の名前は3回、それぞれ違う誤字で書かれていました。「石本 雅治」「増本 正浩」「石本 正治」の3種類です。

印刷した記事の名前欄に、4種類の表記の付箋が並んだ俯瞰

これは1つずつ起きて、そのつど気づいて直した——のではありません。3件目が出て「なんで名前がこんなに変わるんだ」となってから、8本を全部見直してようやく揃えたのです。

なぜAIが人名を変えるのかは、たぶん「よくある名前の綴りに引っ張られる」からです。「政晴」より「雅治」のほうが検索頻度が高い名前で、AIから見て「もっともらしい」のは後者になります。だから素直に書かせると、時々「もっともらしい方」にすり替わります。

これも文法チェッカーには引っかかりません。音で読めばほぼ同じで、字面だけ違います。読者が「あれ、これ違う会社の人?」と思う可能性はありますが、書き手側では気づきにくい。

4. なぜ数字と固有名詞だけがこう抜けるのか

2件を並べて、私は考えを整理しました。

AIが間違えるとき、「もっともらしく書ける場所」だけを間違える、というのがいちばん近い言い方だと思います。

自社ブログ8本の実測。年数の混在は7本、氏名の誤字は3件だった
  • 論理は間違えにくい。文法チェックと同じで、AIは前後関係のつじつまを見て書くので、破綻はまず出ない
  • 一般的な説明は間違えにくい。世の中に大量に書かれているので、平均的に正しい方向に寄る
  • 数字と固有名詞は間違える。前後の文脈から論理的に導けない情報で、AIは「もっともらしい候補」から拾ってくるしかないから

だから、私は「AIが書いたものは、数字と固有名詞と判断の3つは、最後に人が見る」という運用に切り替えました。これは私が発明したことではなく、実務家の間では割と共有されている整理です(生成AIハルシネーションの実務的な抑制策 — ソフトバンク)。

5. いま、実際にやっている3つのこと

事故を防ぐために、私が自分の会社でやっているのは次の3つです。

5-1. 正典を1箇所にまとめる

AIに文章を書かせる仕組みの中で、「変えてはいけない事実」を1つのファイルに書き出しておく、というのが最初の一手です。

私の場合は、氏名の正しい表記、建設実務の年数、経歴の書き分け(通算22年/専門業種18年)、勤務先の情報範囲、書いてはいけないこと、をぜんぶ1つのテキストに書いてあります。AIは記事を書く前にそのファイルを必ず読むように、手順そのものに組み込みました。

正典が1箇所にあると、直すのが1箇所で済みます。この整理をやる前は、記事ごとに違う情報が入り込んでも、どれが正しいのか自分でも分からなくなっていました。

5-2. 自動で照合できるものは、書き終わったあとで機械にチェックさせる

書き上がった記事の中に、正典に無い数字や氏名の異表記が混じっていないかを、機械で洗い出します。

たとえば私の名前の場合、「石本 政晴」以外の表記(「雅治」「正治」「増本」など、過去に一度でも出た誤字)を全部リストにしておいて、記事の中にそれが混じっていたら止まる、という仕組みです。プログラムの用語で言うと `grep` で引っかけるだけです。

難しい判定ではなく、単純な照合で防げるものはそこで防ぐ。人の集中力を必要な場所に残すためです。

5-3. 最後の1目は、人が通す

自動照合で拾えないもの——新しく出てきた数字、新しく出てきた名前——は、公開前に人が拾い読みします。

印刷した書類を指で辿りながら、数字と名前を照合している場面

コツは、文章として読まないことです。文章として読むと、内容の面白さや流れに引っ張られて、数字と名前だけを冷静に見られなくなります。だから私は、記事本文をざっと通したあと、もう一度戻って数字と固有名詞だけを拾って照合する時間を分けています。

3分もかかりません。しかし、これを飛ばした8本で21箇所と3件の事故が起きたので、この3分を惜しまないほうがいいというのが結論です。

6. 経営者の側から見たときの、やるべき順番

読んでくださっているのは、社内でAIを使うかどうかを判断する立場の方だと思います。

社内でAIに文章を書かせるとき、この記事の話を経営判断に落とすと、順番はこうなります。

1. まず、変えてはいけない事実を書き出す。会社の正式名称、代表者名、住所、電話番号、代表挨拶の中身、実績数字、資格の名称と取得年、料金の考え方——このあたりを、社内の1箇所にまとめる 2. AIに任せる範囲を決める。任せてよいのは、下書き・要約・整理・言い換え。任せないのは、金額の最終値、固有名詞、判断そのもの 3. 公開前に「数字と固有名詞だけ見る時間」を設ける。文章として読むのとは別に、拾い読みで照合する

3番目は、AIを入れる前から社内でやっていることかもしれません。ただ、AIが書いたものは「文章として読むと自然すぎる」ので、油断すると流れで読み飛ばしてしまいます。わざと機械的に見る時間を設けるのがコツです。

7. 逆に、AIに任せて事故らなかったこと

念のため、任せてよかった部分も書いておきます。

  • 記事の構成の下書き(見出しの並び、章立ての設計)
  • 過去の記事を要約する仕事(元があるので誤りにくい)
  • 同じ内容を、別の言い方に置き換える仕事(元の意味が正解として存在する)
  • 画像のプロンプトの下書き(最終的にどの画像を採用するかは私が決める)

共通しているのは、「元になる正解が別にあって、AIはそれをかたちだけ整えている」という仕事です。ここは事故りません。事故るのは、元の正解がAIの中にしか無い仕事——数字を思い出して書く、名前を思い出して書く、決めごとを思い出して書く——です。

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AIに任せると事故る場所は決まっています。数字と固有名詞と判断。この3つだけ人がやると決めてしまえば、あとは怖くありません。

失敗した記事8本と誤字3件を代償に学んだのがこれだけ、と言うと少ないですが、社内でAIを入れる方の役に立てば元は取れたと思います。

Masaharu Ishimoto

この記事を書いた人

Masaharu Ishimoto(御縁 GROWTH)

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22年間ずっと現場側で実務をしてきた人間が、いまはAIエージェントを毎日の業務に組み込んで運用しています。うまくいったことも、任せて失敗したことも、そのまま書いています。

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